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カウンターに着いたけどやっぱり人の気配は無い。
「すみませーん、誰かいますか？」
カウンターの奥もなんだか暗くてよく見えないし、やっぱりここは気味が悪い。
「はぁ…もうなんでこんな事になってるの！意味わかんない！帰りたい！」
怒りの感情が大きくなってとりあえず不満を大きな声で口に出してみるけどこの状況は変わらないし、どうしたら良いのかも分からないからとりあえず落ち着く為に一旦目を閉じて深呼吸をした。
そして昂る感情を落ち着かせて目を開けるとさっきまで暗かったはずの両替所のカウンターに電気が付いていた。
振り返ると変わらずシャッターは閉まっていて出れそうでは無い。
そしてカウンターの向こうから微かに音楽が聞こえてきて、人の気配なんて無かったはずなのにそこには1人の人が居た。
「……あの、すみません」
♪♪♪
「あの！！！」
さっきから微かに聞こえている音楽は、カウンターの向こうにいるとても奇抜な格好をした人が付けているヘッドホンの音漏れだ。
どれだけ大きな音で音楽を聴いているのか…私が大きな声で声をかけても椅子に腰掛けて反対側を向いていて全然気づく気配が無い。
そこから少しだけ待ってみるけど相変わらず向こうを向いて音楽にノっているだけで気づきそうに無い。
どうしようかと悩んでいたけど、カウンターの隣にその人がいるところに行ける扉があるので鍵がかかって無ければそっちに行けるかなと思い、扉の前に向かった。
勝手に開けて良いのか？と悩みつつもやっぱりそれ以外にこの状況をどうにかする為の選択肢は無くてドアノブに手をかける。
鍵はかかっていなくてすんなりと扉は開いた。
そして私はカウンターの中に入ってまたその人に声をかける。
「お邪魔します…」
♪♪♪
やっぱり気づく気配が無い。
ここまで来て気づかない事があるの！？
さっき落ち着かせたはずなのにまた怒りの感情がふつふつと湧いてきた私はもう遠慮はしないとその人の目の前まで一気に足を進めた。
「あの！！！！！」
そう言ってその人の目の前に立ち改めて大きな声で声をかける。
その人は私が急に目の前に現れたのに少しもびっくりする素振りが無くそのまま私の顔をジーッと見ている。
余りにもじっと見つめてくるので私も何も言えずにただ見返しているとその人がやっとヘッドホンを外してこう言った
「やっと来たね」
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作者名：揺蕩 | 作成日時：2024年1月20日 1時
