・ ページ2
気づけば私は目の前の人に腕を引かれてどこかに向かっている。
なんでこうなったんだっけ？
最近は天気のおかしな日が続いていた。
空が半分だけ暗い雲で覆われていて、そのまた半分は快晴だったり、そんなおかしな天気が偶にでは無く毎日続いていて、今日の朝もそんな感じで、またおかしな天気の日だなぁってボーッとしながら会社に向かう道を歩いていたら、急に引ったくりにカバンを奪われたんだ。
最初ボーッとしてたのもあって何が起きたか分からなくて、気づいたらカバンは手元に無いし、数メートル先を走る人が私のカバン持って走ってて、とりあえず追いかけなきゃと思って必死になって追いかけた。
できる限り追いかけた。ヒールで全力疾走した私を誰か褒めて欲しい。元々の身体能力の高さが久しぶりに活躍するタイミングだった。
それでも引ったくりとの距離は中々縮まらなくて、結局途中で見失って、気づいたらさっきいた路地裏に着いてて、そこでどうしようかなって、起きた事に対して考えも纏まらずに息切れしてたら私のカバンを持ったマークさんが目の前に現れた。
その後はさっきの通り。
そして、お互いに名前を教えあった後、差し出された手を見て私も手を差し出して、握手したかと思えばその手が離れる事は無くてそのまま引っ張られて今だ。
｢あの、マークさん？｣
MK｢マークでいいよ｣
｢…マーク？あの、手を離してもらえますか？｣
MK｢あー、ダメだね｣
｢どうして！？｣
MK｢離したら君、会社行っちゃうでしょ？｣
｢当たり前じゃないですか！というかもう始業時間も過ぎて遅刻してるんです、離してください！｣
MK｢ごめん、離してあげたいけど君には行かなきゃいけないところがある｣
この人は何を言っているんだろう、私は一体どこに向かっているんだろう…私の中で疑問だけが募っていく。
MK｢着いたよ！｣
そう言ってマークが視線を向けるのは外貨両替所だ。
ただ、営業していないようでシャッターが降りている。
｢なんでこんな所に…｣
MK｢そのうち分かるよ｣
そう言うとマークは慣れた手つきで少しだけシャッターを開けて中に入っていくので、私も後に続いて両替所の中に入った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：揺蕩 | 作成日時：2024年1月20日 1時
