あの日の種明かし ページ11
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「 あの子傷つけたら、絶対許しませんから 」
―――そんなどこぞのヒーローのような台詞を吐くことになったのは、今から三十分ほど前。
一週間ほど前からAちゃんに避けられに避けられ、情けなくも泣きそうになっていた俺は、コンビニに昼食を買いに行くと言う河村さんによって外へ連れ出された。
滅多に俺を誘って外に行かない河村さんが、珍しく声をかけてきた。
ということはつまり、これは、彼の口から直接Aちゃんとの関係を打ち明けられるという拷問イベントの始まりなのだろう。
ちょっと待って俺まだ心の準備が。
「 うっ…… 」
「 なに吐きそうになってんの 」
「 すみませんちょっと緊張で…… 」
「 テレビでもそんなことなんないだろ。変な奴 」
「 その感じ絶対理由分かってますよね？ 」
この人は昔から分かっていて弄ぶ癖がある。それが時に心臓に悪い。特に今は。
勿体ぶって希望が見えかけた瞬間落とされるよりは、いっそのことスパッと言ってほしい。そうすればきっと、俺だって諦められるはずだろうから。
……いや、ごめん。
すぐに諦めるのは無理。
多分この先もずっと「 Aちゃん好き 」って叫んでる。
でももう、強引にアピールするなんてことはしないだろう。
「 お前さ、俺としずくさんのことどう見てる？ 」
「 え、そりゃあ…… 」
河村さんとAちゃんの関係。
そりゃあ勿論、そういうことをする間柄なのだ。恋人以上に決まってる。
もしセが付くフレンドとか言い出したら、その時は、例え河村さんでも殴ってる。そんなことするような人じゃないって分かってるから殴らないけど。
分かりきった反応を示す俺に、河村さんは心底楽しそうな笑みを溢す。
俺は全然楽しくないんですけどねぇ。
「 残念だけど、俺としずくさんはまだ一線越えてないよ 」
「 ……え、でも、あのLINE 」
「 あれは�� 男の家に泊まるのが �畚蕕瓩討辰動嫐�。お前が勝手に深読みしただけ 」
あっけらかんとした表情で種明かしをする河村さん。
俺が勝手に深読みしただけって、いや、あの文面は誰だってそう思うだろ……！
「 貴方って人は…… 」
「 ―――調子に乗ってんのはそっちでしょ 」
そんなときだった。ずっと聞きたくて仕方がなかった、Aちゃんの声が聞こえたのは。
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作者名：朝田 | 作成日時：2021年1月6日 19時
