好感度は120%越え ページ3
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「 ほらほら、福良さんに買い出し頼まれてるんでしょ?乗ってきなよ。ちゃんと目的地まで送ってあげるから 」
「 ……その心配は別にしてないんですけど 」
「 え、なに?!俺のことそんなに信頼してくれてんの?!結婚する?!? 」
「 しませんよ!なんでそうなるんですか!! 」
社長にこんなことを言うのは明らかに首が飛ぶ案件だと思うが、それでも言いたい。
この社長と話しているともんのすごく疲れる!
これ以上ここで彼と乗る乗らない攻防を続けていても、後で私が福良さんに「 遅すぎ 」と怒られるだけだ。
こうなったら腹を括ろう。
実際、今までにも半ば強制的に送迎されたことはあるが、一度だって彼が目的地に送ってくれなかったことはない。
しっかり目的地に最短距離で向かってくれるし、運転中の話も、私が飽きないように普段の東大生は封印して、私でも分かる話を沢山してくれる。
そういう『 素敵な男性! 』という要素を発見するたびに、疑問が膨らんでいく。
なぜ彼は私みたいな奴にこんなにも構うのだろう、と。
「 しっかりシートベルトしててね。あ、なんなら俺のハグでも良いけど 」
「 まだ胴体と仲良くしていたいんで大丈夫です 」
助手席に乗り込んでからも通常運転な彼に、最早心を無にして窓の外を眺める。
はっはっ、また社長に運転させちゃうなんて……明日にはクビかな。
今までのも合わせると、社長に送迎をしてもらった回数はもう両手では数えきれない。
初めて雨の中社長が愛用車で現れた時はビビったな。
なんなら目の前の光景が夢かなにかかと錯覚したほどだ。
その時つねった頬が今も心なしか痛い気がする。
「 にしても、いつもしっかり者のAちゃんが傘忘れるなんて珍しいな 」
「 いやほんと、朝の自分をぶん殴りたいほどには後悔してますよ 」
「 俺と楽しいドライブ出来たのに? 」
「 だからですよ 」
「 ツンデレなAちゃんも可愛いよ 」
「 ダメだこりゃ 」
社長にはなにを言っても通用しそうにない。
今までにも色々試しては来たが、冷たくあしらってもこの人は寧ろニコニコと嬉しそうにするし、逆にわざと親しくすれば泣いて喜び始める。
もうなんだか諦めた方が早い気がする、という状態が今の私だ。
だって出会った時点で120%よ?どうマイナスにしろっちゅうねん。
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作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月3日 19時