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解読不可能な行動集 ページ17









 彼は頭が良いのか悪いのか、荷物がかさばると走るのに邪魔だからと傘を一本しか持ってきていなかった。
 びしょ濡れになったり、走るために傘を閉じたり、傘を一本しか持ってこないし( しかもそれは私用だという )、ほんとに彼はまるで自分のことを考えていない。


 お陰でバイト先から五分ほどの距離にある自宅には、社長と相合い傘をして向かう羽目になった。
 誰が嬉しくて社長と相合い傘をしなければならないんだ。こっちはいつ首が飛ぶがひやひやしてんだぞ。ふざけんな。






「 今日はさっきまで白石さんとバイトしてたの? 」
「 え?白石さん?なんでですか 」







 悶々とこの状況に対して恨み節を唱えていると、社長が突然聞き馴染んだ名前を口にする。
 白石さん。私の後輩に当たる子だ。

 最近だと変な輩に腕を掴まれて絡まれたり、大分前には数人の男性にナンパされたり、所謂容姿が整いすぎて困るタイプの子が彼女だ。
 私とは全く違う人生を歩んでるんだろうなぁ。



 まぁそんなことは良くて、その彼女とバイトしていたのかという質問だったか。
 答えはNOだ。彼女は今日彼氏とのデートとかでそそくさと上がっていった。

 せめて片付けはしていってほしかったとか、思ったけど別に思ってないから。







「 いや、さっき店の中に白石さんが居たから。あ、でも私服だったから違うのかな 」








 ほら、あそこ。そう言って店を指差す彼に習って、私もバイト先に視線を移す。
 確かに、彼が指差す先では白石さんが優雅に紅茶を啜っていた。私が応対した記憶はないから、別の店員が対応したのだろう。

 でも、彼氏とのデートの筈なのに、なんで一人で居るんだ?


 どいつもこいつもさっぱり分からんなぁ、と頭を捻りながら、お店に背を向ける。
 別に白石さんが何をしていようが私には知ったこっちゃない。彼氏と解散した後なのだろう。うん、きっとそうに違いない。







「 白石さんなら今日は早く上がりましたよ。デートかなにかで 」
「 あ、彼氏居るんだ 」
「 あれだけ美人ですよ?居るに決まってるじゃないですか。……あぁ、もし狙ってるならライバル多いのでやめた方が良いですよ」
「 大丈夫!俺はAちゃん一筋だから 」







 あんな警告したけど、これだけハイスペックなら、本気出せば簡単に落とせるんだろうなぁ。

 ……じゃあなんで、私は『 やめた方が良い 』なんて言ったんだろう。








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作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月3日 19時

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