゜*。TAXI〜true love2。*°

離さない〜CMside ページ45

今まで俺は、どうやって生きてきたんだろう。



「ん？なに？｣

俺の視線に気付いた彼女が、食器を洗いながら顔を上げた。



「何でもないです。ただ見ていたくて」

俺は今まで、彼女なしでどうやって生きてきたんだろう。



「恥ずかしいからあんまり見ないで｣

ふふっと笑うその顔が可愛すぎて。愛おしすぎて。

そっと彼女に近づき、後ろから抱きしめた。



「チャンミン？汚れちゃうよ？」

「いいです。汚れてもいい」


ぎゅうっと抱きしめると、そっと俺の腕に手を添えてくれた彼女。



本当は気付いてるんだ。

気付いてしまったんだ。


きっとAさんは

アイツを愛している。


時折ぼーっと遠くを見るようなAさんの視線の奥に

アイツへの愛が見え隠れする。



わかっているのに。

あなたを解放してあげることが、あなたのためだとわかっているのに。

手放してあげられない俺を許して。





「Aさん。今すぐあなたを抱きたい」

彼女の首筋に唇を這わせると、ピクッと彼女が反応した。



「……嫌ですか？」

「嫌じゃないよ。私もチャンミンに抱かれたい」


そう言ったAさんが、くるっと向きを変えて俺の首に腕を回す。




「Aさん、愛しています。どうしようもないほどに…｣

そっと触れた柔らかい唇を、ゆっくり押し広げると
なんの躊躇いもなく俺を受け入れてくれた。



「私も愛してる。チャンミンが大好き」

「Aさん……」



きっと、Aさんの言葉に嘘はないだろう。

俺のことも、ちゃんと愛してくれている。


ただ今は、その愛が俺だけのものじゃないってだけ。

その溢れ出た愛が、他の所に零れてしまっただけだ。






……だけどね。

ごめんね、Aさん。

俺は自分が思うよりも、ずっとずっと嫉妬深いみたいだ。



「Aさん…ベッドに行きましょう」


彼女を抱き上げ、とろんとした目で俺を見上げる彼女を見ながら心に誓う。


時間がかかってもいい。
何年かかっても構わない。



「Aさん。今日は僕がどれだけあなたを愛しているのかを、全身で感じてください｣



これから俺は


あなたから零れた愛を。

他の誰かに向けられた愛を。




俺の愛で、全て、一滴残らず


全力で取り戻すから。





Fin

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