゜*。TAXI〜true love2。*°

光が差す〜CMside ページ40

こうなるかもしれないと覚悟はしていたはずなのに、足の力が抜け玄関にヘナヘナとしゃがみ込んだ。


「はぁ……」

目元を手で覆いながら洩らしたため息。


物音一つしない家の中は間違いなく現実で。

ジワジワと押し寄せる息苦しさに頭を抱えた。




俺は、どこから間違ってしまったんだろう。

彼女をアイツの元に行かせなかったら。

もう二度とアイツに会うなと強く強く引き止めていたら。

もしかしたら…って。

今更どうしようもない事を考えるけど

本当は、そうじゃないってわかってる。


結局は、全て俺のせいだってこと。

Aさんに惹かれながらも、ショウコとの関係を断ち切れなかった自分の弱さが

あの二人を引き合わせてしまったってこと。

これこそがその代償だというのなら、全て受け入れるしかないんだってこと。




「……はぁ」

俺は本当にバカだ。


わかっているのに。

頭では、全て理解してるつもりなのに。

全然心がついていかない。





もっと、一緒にいたかった。

もっと、彼女の笑顔が見たかった。

もっと、愛したかった。

もっと、もっと……


後悔してもし切れない悔しさで、熱いものが込み上げてくる。



……これで本当に終わり？

終わっていいのか？終わりに出来るのか？

俺が今出来ることは

恥ずかしくても、情けなくても

縋り付いてでも彼女を手放さないことなんじゃないのか？

……こんな風にへこんでる場合じゃない…！

目元をグイッと拭って立ち上がった時だった。



ガチャン、という音と共に差した光。








「わ、ビックリした！こんな所でなにしてるの？｣



……これは夢、か？


思いが強すぎて幻を見ているのだろうか？




「お醤油がね、切れそうだったから買いに行ってきたの。……え、どうしたの？何かあったの？」


慌てて俺の顔を覗き込むのは

俺の愛おしい人。




「チャンミン？大丈夫？｣


……もういい。


夢でもいい。幻でもいい。

これが夢なら醒めないでくれと願いながら

彼女を力いっぱい抱きしめた。

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