酷な質問 ページ29
チャンミンとお酒を飲んだことは何度もあるけど。
このお酒が『楽しいお酒』になるわけじゃないってことは瞬時にわかった。
「あ…そうしよっか!何がいいかな?ビール?ワイン?」
「何でも。酒なら何でもいい」
「…わかった!今用意するね!」
冷蔵庫に入っていたキンキンに冷えたビールを数本と、チャンミンのお気に入りのチーズを持って彼の元へと戻る。
もちろん、「乾杯」なんてする雰囲気ではなくて。
私の手からビールを受け取ったチャンミンが「ありがとう」グラスに手をつけることなくすぐにタブを引いて、炭酸のきいたそれをグビグビ喉の奥に流し込んだ。
その様子を見ながら、彼の傍の床に座って私もプシュッとタブを引いた。
その瞬間「Aさん」呼ばれた名前。
「ん?なに?」
「アイツは……ジェジュンってヤツはどういう男ですか?」
突然の質問に「え?」って小さく洩らした私をチラリと見て、あっという間に空になった缶をテーブルに置いた。
「いい奴?」
「え、どうかな……」
「Aさんには優しかった?」
「な、なに急に…。どうして?」
「いいから答えて」
いいからって……。
「ふ、普通だと思うよ」
「彼といて、Aさんは楽しかった?」
「チャンミン?本当にどうしたの、」
「答えて」
「そんな事……」
「アイツと会って、何をしてたの?何を食べて、どんな話をしてたんですか?」
「ねぇ、本当にどうしたのチャンミン…?なんか変だよ?」
「Aさんは彼に抱かれて幸せだっ、」
「チャンミン!本当にもう止めて!」
どこか虚ろな瞳で、酷な質問を投げかけてくるチャンミンに
私の声が荒くなった。
「そんなこと聞くなんて酷いよ…」
「…ごめん。ごめん、Aさん」
……違う。
本当に酷いのは、彼じゃない。
「ううん。私こそごめん。急に大きな声出したりして…」
だけどやっぱり、いつもの彼じゃない。
「何か……あったんでしょう?」
膝の上で組まれた彼の手にそっと触れようと手を伸ばすと
私の手を避けるように、チャンミンが両手で自分の顔を覆った。
「……Aさん。あなたが本当に一緒にいたいのは、誰ですか……?」
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ユチコ(プロフ) - miyuさん» miyuさん。わー、泣いてくださったなんて(;▽;) 一緒に心を揺さぶって下さりありがとうございました(*´˘`*) 彼らのその後……!?え、私も気になる…笑 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
miyu(プロフ) - ユチコさん!ヤバいです!TAXI!泣きました!物語りにどんどん引き込まれて…心を揺さぶられるstoryに久しぶりに出会いました。今更ですが、その後…も読んでみたいです♪気が向いたらお願いします 笑 いやぁホン (2020年12月18日 23時) (レス) id: aef111b54a (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - YUKIEさん» YUKIEさん。初めまして。コメントありがとうございますヽ(*^^*)ノこのお話を見つけて下さりとても嬉しいです〜☆passですが、現在はコミュのメッセージ機能を使って配布させて頂いております。もし宜しければ、そちらからよろしくお願いします☆ (2019年5月9日 14時) (レス) id: d9338454cd (このIDを非表示/違反報告)
YUKIE - ユチコさん、はじめまして。最近東方神起にはまり、たどり着きました。このお話、不倫ものなのに、とても美しくて、切なくて、とても引き込まれてしまいました。是非パスワード教えて頂きたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月7日 11時) (レス) id: 8fe0687aa2 (このIDを非表示/違反報告)
麻樹子(プロフ) - ユチコさん お返事ありがとうございます。早速拝読させていただきます。 (2018年2月10日 22時) (レス) id: ce80ff39ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2016年7月8日 15時