検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:827,950 hit

男の背中〜JJside ページ22

カラン


店のドアを開けると、懐かしい音が響いた。

駅からそう離れていないのに、こんな場所に喫茶店があったなんて知らなかった。



「いらっしゃいませ」

木目調のテーブルと椅子が並ぶ店内には、バッハの「G線上のアリア」が流れている。

置かれている椅子もテーブルも、決してお洒落とは言いがたいこんな地味な店を、なぜ男が指定したかが一瞬にしてわかった気がした。



「おひとり様ですか?」

「いえ、あの…」


妙に落ち着きのある店内をグルリと見渡すと、幾分恰幅のいい目の前の女性が、「あぁ」と口を動かし、「あちらでお待ちです」手を向けた。


その女性の手の先。
数メートル向こう。


一人の男の後ろ姿があった。



俺が向かうべき場所は、真っ直ぐに背筋を伸ばして座るあの男の所で、間違いない。


「ありがとう」


キッチンへと戻って行く女性の背中を見送ってから、もう一度男の背中に視線を戻す。



…ゴクリ。

喉が鳴った。


落ち着け。大丈夫だ。
やっとここまで来たんだ。


ここを乗り越えれば、堂々と彼女に逢える毎日が待っている。

陽の当たる道を、二人で並んで歩けるようになる。



スッと息を吸い込んで

カツ…足を進めた。



一歩

また一歩

確実に男に近づいて。




男の目の前に立った。

男の視線が俺を捕らえる。





もう迷わない。

彼女の未来を壊してでも

欲しいと思っていた未来がすぐそこにある。






「初めまして。キム・ジェジュンです」



そのために俺は


この男から


彼女を奪う。

想像を超えて〜CMside→←対面〜CMside



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1148 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2322人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユチコ(プロフ) - miyuさん» miyuさん。わー、泣いてくださったなんて(;▽;) 一緒に心を揺さぶって下さりありがとうございました(*´˘`*) 彼らのその後……!?え、私も気になる…笑 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
miyu(プロフ) - ユチコさん!ヤバいです!TAXI!泣きました!物語りにどんどん引き込まれて…心を揺さぶられるstoryに久しぶりに出会いました。今更ですが、その後…も読んでみたいです♪気が向いたらお願いします 笑 いやぁホン (2020年12月18日 23時) (レス) id: aef111b54a (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - YUKIEさん» YUKIEさん。初めまして。コメントありがとうございますヽ(*^^*)ノこのお話を見つけて下さりとても嬉しいです〜☆passですが、現在はコミュのメッセージ機能を使って配布させて頂いております。もし宜しければ、そちらからよろしくお願いします☆ (2019年5月9日 14時) (レス) id: d9338454cd (このIDを非表示/違反報告)
YUKIE - ユチコさん、はじめまして。最近東方神起にはまり、たどり着きました。このお話、不倫ものなのに、とても美しくて、切なくて、とても引き込まれてしまいました。是非パスワード教えて頂きたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月7日 11時) (レス) id: 8fe0687aa2 (このIDを非表示/違反報告)
麻樹子(プロフ) - ユチコさん お返事ありがとうございます。早速拝読させていただきます。 (2018年2月10日 22時) (レス) id: ce80ff39ee (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユチコ | 作成日時:2016年7月8日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。