゜*。TAXI〜true love2。*°

証拠を見せて〜CMside ページ16

くらりと目の前が揺れた。

目を瞑ってなければ倒れるんじゃないかと思ったほど。

昨日、俺がこの家を出る時までは、確かにこの人は俺の腕の中にいたのに。


それがたった一晩で俺の腕からすり抜けてしまうなんて
そんなことが有り得るというのか…？




「チャンミン。私がどんな女か、これでわかったでしょう｣


真っ赤に腫れた目で、挑発的な言葉を口する彼女の本心が、動揺しすぎて読み取れない。



「黙れと言っただろ……っ！｣


…ダメだ。
落ち着け。

彼女がここまで酷いことを俺に伝えてくるのは
彼女なりの理由があるはずだ。


そうじゃなきゃ……

そうじゃなきゃ説明がつかない。

だって、俺にはわかる。


一緒に映画を観た時も。
手を繋いで歩いた夜も。
あれから何度も重ねた肌も。
今日の豪華な食事だってそう。

そこには全て、俺への愛情があったはず。


だから、とても信じられない。

あなたは、俺と別れたいと。
本当にそう思っているのか…？



「……Aさん。どうしてアイツに会いに行ったの｣

「会いたかったから」


…嘘だ。
嘘に決まってる。



「…俺のことは全く考えなかった？」

「うん。考えなかった」



信じない。
とても信じられない。



「本気で俺と別れたい？」

「……うん」

「…………」

「か、隠さないで話せって言ったのはチャンミンだからね…｣



……わかった。
わかったよ、Aさん。

そこまで言うのなら



「だったら、証拠を見せてください」

「証拠……？え、なにチャンミンっ、どこ行くのっ｣


彼女の腕を掴み、向かったのはベッドルーム。


「きゃっ、」

乱暴に彼女をベッドの上に放り投げ、彼女の上に跨った。



「な、何考えてるの、チャンミン…っ｣

「だから、証拠を見せてください。俺と本当に別れたいと思っているのなら、本気で抵抗して｣

「え、なに？チャンミン!?んん〜〜…っっ｣


塞いだ唇から逃れようと首を振る彼女の顎を片手で固定して、ジタバタ動く彼女の手を頭の上で押さえつける。


俺から本気で離れたいと思っているのなら

思い切り俺を突き放してよAさん。


じゃないととても無理。

あなたを手放すなんて。

あなたのいない人生なんて



考えられない。

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