゜*。TAXI〜true love2。*°

言葉の刃 ページ15

チャンミンから言われるだろうと、一度は覚悟を決めたことがあるこの一言を、まさか私から伝える日が来るなんて思わなかった。

嗚咽の交じる私の言葉に、私の頬に触れていた彼の指がピクッと揺れ。
数秒後「はぁぁ…」大きく息を吐いた。




「……僕のことが嫌いになりましたか？」

その言葉に、ぶんぶん首を横に振る。


「じゃあ…僕よりも好きな男が出来ましたか…？｣


違う。

そうじゃない。


「僕と別れて、アイツと暮らすの…？｣

「そんなことしない…っ｣

「じゃあなんで別れたいんですか？納得出来るように話してください｣


淡々と。いつも通りの声で話してくれるチャンミンの手が微かに震えてる。


グラスの中で小さな気泡がパチパチと割れていく。




「チャンミン…っ、｣

彼の名前を呼ぶだけで、辛くて、苦しくて堪らない。


そんな私の手に、そっと手を重ねてくれたチャンミン。



「言っておきますけど。僕はAさんと別れるつもりはありませんから。
こうして確認してるのは、Aさんの気持ちが知りたいだけです。隠さずに話して｣



……違う。
これじゃあ、ダメだ。

そんな風にあなたに努力して欲しい訳じゃない。

あなたを苦しめたい訳じゃない。

私の曖昧な態度は、あなたを傷付けるだけなんだ。


だったら私は




「……私。昨日ジェジュンの家に泊まったの。
そして、彼に抱かれてきた」



あなたを解放する為に

自らの手で、終止符を打つ。








「…………は？」


私の手から、チャンミンの手が離れた。


「な、に言って……？」

「チャンミンからの電話にも気付かなかったくらい、何度も何度も彼に抱かれてきたの」


泣かない。

私はもう泣かない。

ぐいっと目元を掌で拭って、目を見開いている彼と、真っ直ぐに向き合った。



「私、ダメみたい。チャンミンだけじゃ物足りないみたい｣

「ちょ…ちょっと待って｣



ガタッと椅子から立ち上がり、目元を掌で覆ったチャンミン。


「チャンミン、｣

「黙って。少し黙ってて下さい」



…そうだよ。
私は酷い女なの。

あなたが出張でいない夜に、他の男に会いに行くような、最低な女だから。

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