゜*。TAXI〜true love2。*°

大好きだから ページ14

きっとチャンミンは気付いてる。


「ありがと。ごめんね、片付けまで手伝って貰っちゃって」

私の隣に並んで食器をすすいでくれていたチャンミンが、キュッと蛇口を止めた。


「いえ。Aさんの傍にいられるから楽しいです｣


最後まで嬉しい言葉をかけてくれるのは、彼の優しさ。

…早い方がいい。
時間はかけない方がお互いのためだ。




「チャンミン。話があるんだけどいいかな…｣

私の言葉にチャンミンがピクリと揺れた。



「チャンミン、｣

「Aさん｣


私の言葉を遮ったチャンミンが、「ちょっと待っててください」寝室へ向かい、すぐに戻ってきた。



「お土産買ってきたんです。一緒に呑みませんか」

チャンミンの手には、一本のワインがあった。



「チャンミン、折角だけどお酒なしで話がしたい｣

「…Aさんもお酒は強い方だし、呑みながらでも話せますよね｣

「でも、今日はちゃんと、」

「それに！」


少し大きな声の後、彼が困ったように笑った。



「シラフではとても話を訊ける自信が無いから」





……もう、どうしよう。

彼のこんな一言で泣きたくなるくらい、やっぱりチャンミンが愛おしくなる。

さっきまでの決意がグラグラ揺れて、今にも崩れ落ちそう。


本当にズルイ女だ。嫌な女だ。

ジェジュンと別れることも出来なかったくせに…。




「座りましょう」と椅子を引いてくれたチャンミンと向い合って座ったダイニング。

目の前に置かれたグラスには、シュワシュワと音を立てて、ワインが注がれていく。



「たまたま立ち寄った店で見つけたんです｣

「はい」と差し出されたそのワインを一口呑んでみる。



「……美味しい」

「そう言うと思いました。このスパークリングワイン、Aさんが好きそうだなって｣


ふふっ、て。
笑ってくれるその顔が、優しすぎて苦しくなる。



「ん、美味しいですね。僕の目に狂いはなかったです｣

「チャンミン…っ、｣

「……もう一つのワインとどっちにしようか悩んだんですけど｣

「私…っ、私、」

「やっぱりこっちにして正解だった」

「うぅ〜…っ、うっ、うっ」

「……しょうがない人ですねぇ。まずは、落ち着きましょう。話はそれからです」


私の隣に移動してくれたチャンミンが、長い指で涙を拭ってくれる。



チャンミン


チャンミン



あなたが



大好き




大好きだから……








「私と…っ、別れてくださ…い」

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