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私は左手をのばし、ハンマーの奥、グリップの手前あたりを握りこんだ。
「奪う時は一気に奪う」
次元さんが言う。私は彼の言葉のとおり、素早く拳銃を回転させた。
そして、その冷たい鉄が私の両手に収まる。
ぴりぴりと、いい得がたい興奮が指先を走った。
「その後はどうする」
え、と口から漏らす間に彼が銃身を掴み、彼の額まで持っていく。反射的に両腕を引こうとしても、ほとんど逆らえない。
次元さんは自分の額に銃口をあてたまま私を見据えた。
「殺す覚悟がないなら、此処では銃は握れねえ」
帽子の奥の、彼の瞳が鈍く光る。
心臓が刺されたようにどくんと鳴った。
彼は銃身から手を離すと、再び掌を差し出した。
「もう一回やるか」
私は頷いて、彼の掌の上に拳銃を置いた。
次元さんは決して甘くはなかった。私がポイントを外すとすぐに指摘した。「左手が遅い。もっと早く」「両手の動きを揃えろ」「構えるまでをもっと素早く」──そしてできたときは一言、「そうだ」。
不思議なことに、何度も繰り返すと銃の動きにリズムが生まれた。
そしてあるとき、そのリズムがピタリとハマる瞬間があった。まるで拳銃が自分に呼吸を合わせてくれたような。
「今のだ。そいつを覚えておけばいい」
私は拳銃を下ろしはしなかった。銃口の先の次元さんが、違和感に気づく。
もし。もし、この先にマサを殺した奴がいるとして。
私は引き金を引けるだろうか。──コルトパイソンは、私に従ってくれるのだろうか。
『次元さん』
「なんだ」
私はふっと腕を下ろし、その黒く鈍い光を見下ろした。
『私に銃の撃ち方を教えて』
次元さんは重く私を見返した。
『引き金の引き方も知らないで、この銃を握りたくないの』
わずかに、帽子の奥の光が揺らめく。
私は彼をじっと見た。次元さんはぎこちなく横を向き、何かを思案するとふいに立ち上がった。
『次元さん？』
彼は私に背を向け、部屋を出ていこうとするところだった。
私は慌てて立ち上がった。
『待ってよ、どこ行くの』
「教えると言っているんだ」
彼が僅かに振り向き、背中越しに言う。
「知りたいんだろう」
私は頷いた。
次元さんが扉のむこうに消えかかる。私はふと思い立ち、ボトルとグラスを持ってから追いかけた。
私たちは屋上に出た。階段は埃まみれで、屋上に繋がる扉は当たり前に鍵がかかっていたが、彼が軽く体当たりすれば簡単に開いた。
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O(プロフ) - 結音さん» ありがとうございます、とても嬉しいです😭 ハリポタ以外作っては消しての繰り返しですが、何卒よろしくお願いします… (3月27日 22時) (
レス) @page5 id: 4c954a2b54 (このIDを非表示/違反報告)
結音(プロフ) - Oさんとは趣味が合うのか私が好きな人ばかり書いてくれるのでいつも楽しみに見てます。hpの方も楽しみにしてます！ (3月25日 7時) (レス) id: 11d763baed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2024年3月25日 1時
