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「服?」
「あっ、うん、今日は僕もコスプレしたから」
「Aが?!」
「ぼぼぼ僕みたいのがほんとにおこがましいよねそれはほんとのほんとにわかってるんだけどどうしても相手が見つからない時だけ頼まれてやってて!」
「えっ待ってこれ」
紙袋から見えた服を取り出す。
めっちゃひらひらの女ものの衣装。なんのキャラのコスプレだこれ。
「女もの…?!」
「僕背も高くないから丁度いいらしくて」
「はっ?!いやいやいやいや」
「僕本当に似合ってないんだけどね」
あははーと笑ってるAに対してキヨは思わずAの肩を掴んだ。え?と首を傾げるAに、俺以外の前でこんなん着るなよとか何やってんだお前とな色々頭の中でよぎったけど。
「着て」
よぎったけど、願望が勝った。
「え」
Aも頼まれるとは思ってなくてきょとんと目を丸くしてキヨを見上げた。
見つめ合うこと数秒、先に声を出したのはAの方だった。
「ヤダ」
「はー?!」
拒否の言葉に不満の声が上がる。なんでだよ!と詰め寄られても恥ずかしいよ!!と返されるだけだった。
でも見たい。Aの女装、ちょーー見たい。つか他人には見せるくせに俺には嫌なのかよ!!とキヨの中で不満は更に膨れ上がった。
「あーあ、いっつも俺はAのワガママ聞いてやっんのになー」
「う」
「俺はちゃんとやってんのにAは俺のワガママ聞いくれないんだなー」
「うう」
「あーーーあ、もうAの言うこと聞くのやめよっかなー」
「着ます」
キヨのゴリ押し攻撃は勝利した。よっしゃーーーーと大きくガッツポーズして、ほら!と手に持ったままの服をAに渡す。
リュックを下ろして、ダサファッションのチェックのワイシャツを脱げばなんかよく見るキャラのTシャツが出てきた。
「Aもうちょい普通の服着ようぜ…」
「僕の戦闘服なので」
なんで得意気なんだよ、とツッコミを入れる前にズボンを脱ごうとするAを慌てて止めた。
「ちょっまっばか!待てよ!」
「?」
「おまっ俺が見てるだろ!」
「へ?あ、はい?」
好きな子が目の前で脱ぐのは流石に抵抗があるのか、キヨは顔を赤くして目を両手で塞いだ。あからさまに童貞を拗らせている事を本人も気付いたが心の中で蓋をした。
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作者名:アフロ田中 | 作成日時:2021年12月1日 4時