検索窓
今日:14 hit、昨日:2 hit、合計:21,267 hit

閑話休題、友情の始まり?-6 ページ26

止まったというよりは、既に目的地に着いていたのと同時だったというべきだが。

いや―そうじゃなくて、もっと重要なことがある。

いま、何て言った?


「誕生、日?」

「う、うん…今日、あの子の誕生日だからご飯たくさん作って…って、もしかして聞いてない?」


目を丸くして尋ねてくるので、苦々しく頷いた。あいつ…。


「プレゼントとか、ないんすけど…」


本当に一ミリもそんなそぶりがなかったので、手元にはせめてもの手土産として持参したジュースとお茶しかない。

そんな俺に、あはは、と笑いながら鍵を取り出す彼女。


「全然、気にしなくていいよ。来てくれるのがもう既にプレゼントだもん」


くすくす、おかしそうに笑い続けて、あの子らしい…と微笑む姿が、夕日に反射して―瞬間、泣いているようにも見えた。


ハッと瞬く間に、もうドアが開いていて、そこには「どうぞ、綺麗じゃないけど…」と笑う彼女がいた。

この姉弟は、感情を逆の表情で隠しているのか。
たとえそれに気付いても、今の俺には特段出来ることはないんだけれど。


その日ささやかに行われた誕生日会でも、彼が笑うことはなく、それを補うかのように彼女はずっと微笑んでいた。
俺は、なんて不思議で、儚い二人なんだろうと思って―ただ、惹かれたんだ、どうしようもなく。

陽炎、そのあつさに。-1→←閑話休題、友情の始まり?-5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , QK , クイズノック
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年8月14日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。