成長 平腹 ページ7
カンカンカン…
部屋の中に鉄を叩く音が響く。私は皆の武器の修理を担当している。刀や剣は使う人が多いためすぐに終わる。しかし、少し時間がいるものもある。例えば、
「おおおおいA！俺のシャベル治してくれないかあ？」
シャベル。これは平腹以外に使ってる奴はいない。平腹は武器選びの時に、隅に置いてあったシャベルを手に取り、力加減を知らないまま振り回して折っていた。あの頃からあいつは子供のようだった。
「はぁ…ほら貸しな。パーツも全部あるの？」
「いや、拾えなかった！」
そう言いながら平腹が渡したものは取手のついているただの棒だった。
「なんでこうなるんだ…とりあえず治してやるから部屋出てけ」
シッシッと手で追い払う。しかし一行に出て行こうとしない。
「俺Aが修理してるとこ見てみたい！」
「ダメだ気が散る」
「えーっ！邪魔しないからさあ！」
いいだろ？そう言って私のお腹に頭をグリグリしてくる。痛い痛い！叫んでも離れないため肩を押すが、馬鹿力な平腹相手には無意味だった。
「わかった、分かったから！見てていいから離れろ痛い！」
「ほんとかっ！？やったあああああ！！！」
顔を上げて笑う平腹を数秒見つめてしまう。こいつの笑顔が昔と違ったかわいさを持っていた気がしたからだ。そんな私を不思議に思ったのかどうしたと聞かれたが、なんでもないと言って頭をぽんぽんと叩いて作業台へ向かった。
「…ん？いつもより浅めになっちゃったかも…これでも大丈夫かな…？」
平腹に聞いてみようと横を向くと、一瞬真面目な顔をした平腹がいた。ドキリ、と心臓が跳ねる。それほどかっこよかった。しかし、すぐにいつもの表情に戻ってしまう。
「終わったのか！？」
「一応終わったけど、いつもより浅めになっちゃった。どう？嫌なら治すけど」
そう言うと少し振り回して確かめ始めた。すると、おおおおお！叫ぶ。
「すげえ！いつもより使いやすい！さすがA！！！」
子供のように笑って抱きついてきた平腹は、少し苦しいが力加減を覚えていた。こいつも成長した、そう思ったら不覚にも男として意識してしまい、鼓動が速くなった。それなのにこいつは私のマネをして頭をぽんぽんするもんだから、一気に顔が紅くなる。
「Aにもこんな可愛いとこあるんだな！」
限界を越えた私は、平腹を殴って部屋を飛び出した。
【後書き】
平腹に！をつけないと気が済まない。そして誰オマ状態酷すぎ
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みみみかん(プロフ) - とても面白いです！ありがとう・・・ありがとう・・・（泣）続きまってます!! (2020年11月13日 18時) (
レス) id: acd4260d4c (このIDを非表示/違反報告)
yakisoba2710(プロフ) - 面白すぎてヤバイ 続きがすごく気になります！！！これからも頑張ってください！！！！ 後、佐疫くん推しですよねー可愛いしマイエンジェル (2018年7月26日 0時) (レス) id: 7b84a70bb8 (このIDを非表示/違反報告)
ねむねむ - こっこれは面白い！面白しろすぎます!!!! (2018年3月25日 21時) (レス) id: 7ee805d977 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - まってました(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2018年3月17日 10時) (レス) id: a2ed5d3f64 (このIDを非表示/違反報告)
真顔の天使 - 面白かったです。が、佐疫君は「僕」ではなく「俺」ですね笑笑 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 34e63f959e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田植えの四郎 | 作成日時：2015年3月5日 21時
