まどろみ 木舌 ページ20
ひと月ほど前に雪は溶け、数日前から少しだけ服が軽くなった。しかし朝はまだ少しだけ冷える。任務から帰ってきたばかりの木舌は、今日は非番だった。二度寝をするために目を閉じたままぐしゃりと歪んだ掛け布団を直そうと腕を動かす。するとなんだ布団にしては暖かく、弾力のあるものに触れた。
おかしい
昨日は1人で寝たはずだった。しかし今手に触れているものは人の感触によく似ている。
まだ重い瞼をゆっくりと上げる。
視界に入ったのは赤みを帯びた頬にふっくらとした可愛らしい唇、長いまつ毛を携えまだ閉じられている瞼だった。
「A...？」
A。それは木舌と恋人関係にある女の名前である。実に数日ぶりにその顔を見ることとなったが、別段約束をしていた訳でもないため疑問ばかりが積もる。
「なんでこんな所に...起きて、A」
「ん.....きのした.....」
「おはよう。どうしてここにいるの？」
「.....」
「あれ、また寝ちゃった」
軽く揺すると瞼が上がり黒い瞳が半分ほど見えた。しかし挨拶もそこそこにまた瞼が落ちる。参ったなあと眉を下げるがかわいい彼女が隣にいて悪い気がするはずも無かった。
一回りより少し大きめの手でAの頬を撫ぜる。すると彼女は幸せそうに笑い手に擦り寄ってきた。そんな仕草が愛おしくなり思わず抱きしめる。
「んん.....おはよう」
「おはよう、A」
ようやく起きた愛おしい彼女に頬が緩む。顔のすぐ下にある額に唇を落としてみればへにゃりと笑ってもっともっとと言うかのように胸に顔を押し付けてきた。今度は両手で頬を挟み上を向かせ、彼女の赤と己の赤を重ねた。
「木舌、やっと会えた」
「やっとって.....たった数日でしょ？」
「数日でも木舌がいないとものすごく長く感じる」
「そっか。俺も寂しかったよ」
「本当？」
「本当」
「そっか」
ふふふと愛らしく笑ったAを見たら、木舌も無意識に口角が上がっていた。
「ねえ、どうして俺のベットにいたの？」
また尋ねてみると彼女はうろ...と視線を彷徨わせ、瞬きしてから木舌の翠を見つめた。
「木舌が帰ってきたって聞いて、1秒でも早く会いたいって思ったらつい.....」
嫌だった？不安そうな彼女の気持ちを消すために木舌はより一層強く抱きしめた。
ーーーー
再開しますって言ってから一年経ちそうですね。申し訳ございません...！コメント読ませていただきました、励みになります、ありがとうございます！佐疫くんの一人称は次から直します。
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みみみかん(プロフ) - とても面白いです！ありがとう・・・ありがとう・・・（泣）続きまってます!! (2020年11月13日 18時) (
レス) id: acd4260d4c (このIDを非表示/違反報告)
yakisoba2710(プロフ) - 面白すぎてヤバイ 続きがすごく気になります！！！これからも頑張ってください！！！！ 後、佐疫くん推しですよねー可愛いしマイエンジェル (2018年7月26日 0時) (レス) id: 7b84a70bb8 (このIDを非表示/違反報告)
ねむねむ - こっこれは面白い！面白しろすぎます!!!! (2018年3月25日 21時) (レス) id: 7ee805d977 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - まってました(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2018年3月17日 10時) (レス) id: a2ed5d3f64 (このIDを非表示/違反報告)
真顔の天使 - 面白かったです。が、佐疫君は「僕」ではなく「俺」ですね笑笑 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 34e63f959e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田植えの四郎 | 作成日時：2015年3月5日 21時
