翡翠【緑】 (ページ7)

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同窓会当日の朝。

昨日の紫のドレスに身を包んだ彼女が、昨日よりさらに綺麗になって洗面所から出て来たのは、朝の11時のことだった。

…本当に、この日が来たんだ。

3年前が昨日のことのように感じられる。それだけAとの時間が楽しくて、幸せだった。
もう今日を最後に、俺は彼女を手放さなければならない。

Aの友達の涼ちゃんの家まで送り届けると、あまりに綺麗すぎるAが俺の方を見た。

「じゃあ、行ってくるね。」

阿「行ってらっしゃい。気を付けてね。」

「ありがとう、楽しんでくるね。」

阿「 …じゃあね、莉奈。」

「亮平？」

嗚呼、最低だ。
今までやって来たこと、全部水の泡じゃないか。

全く彼女に構わない、最低な彼氏を演じていたのに。
最後の最後でこうやって、結局君を抱きしめてしまって。

人の家の前で、何ヶ月ぶりかのキスをした。

少し顔を歪ませたのは俺のせい？
そんなこと、もう聞くことなんてないんだ。

ハイヒールの音が遠くなっていく。振り返るたびに笑顔で手を振るAが。

阿「…大好きだよ、A。」

本人の前では言えなかった思いが、溢れるようにこみ上げてくる。
そこからと言うもの、彼女には1ヶ月間仕事で会えないと連絡をし、会うのを避けた。

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