翡翠【緑】 (ページ3)

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お盆休みの次の週末。
残業明け、俺は久しぶりにAの家に行った。

阿「どこか行くの？そんな格好して。」

「ずっと言ってた高校の同窓会、明日なの。」

阿「嗚呼、言ってたね。明日なのか、行ってらっしゃい。」

綺麗なドレス姿だった。
ウェディングドレスなんて着せたら、この何倍も綺麗なんだろうなあ。

でも、敢えて綺麗なんて言わなかった。
彼女を綺麗だと認めてしまえば、本当に離れて行ってしまう気がしたから。

Aが綺麗なことが憎かった。俺が知らないところで、他の男たちがこんなに綺麗なAを見るのが嫌だったし。

…それでも明日行かないでと言えないのは、彼女が3年前からこの日を楽しみにしていたからだった。

どこか行くの？なんて、白々しい。

「亮平、仕事大変そうだね。」

阿「新しいプロジェクト、リーダー任されたんだ。これに成功すれば昇進間違いないんだよ。」

「…そっか、頑張ってね。ご飯どうする？」

阿「ごめん、これだけやらせて。」

作り立てのご飯が、俺のせいで冷めていく。
きっと彼女の気持ちも、ここ数ヶ月の俺の態度を見ればこうやって冷め切っていくだろう。

新プロジェクトがあることだけが救いだった。
別れた後、この仕事にずっと没頭出来るし昇進も出来る。

俺はもっと高い場所で仕事が出来る、と。

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