初めての家 ページ3
衛兵から助けた子供を家へと連れ帰ると、すぐにそこら辺にいたメイドに風呂の用意をさせた。
自室に戻ると、小脇に抱えていた子供をゆっくりと下した。
子供「なぁおっさん、なんでオレのこと連れてきたんだ?」
床にチョコンと座り周りをきょろきょろと見回しながらそう聞いてきた
俺は、濡れて肌に張り付く服を椅子に掛けながら答えた
太郎「お前の事さっき見てて、気になったから」
そう言いながら俺は部屋の暖房のスイッチをオンにした。
子供「なぁなぁおっさん」
太郎「おっさんじゃない太郎と言う名前がちゃんとある」
ずっとおっさんおっさん言われていたらさすがの俺もいらつくので、名前を教えた。
すると、唐突に
子供「なあ太郎、お前って結婚してね―の?」
太郎「なんでだ?」
俺は唐突な質問に少し動揺してしまったが、それを顔に出さずに聞き返した。
子供「だってよ、こんなに広い家に一人ぼっちなんて悲しいだろ?」
子供「だから結婚してねーのかなって」
こいつは満面の笑みでそう言ってきた
太郎「俺が広い家に一人で住んでてもお前には関係ないだろ」
太郎「それよりお前、名前はなんていうんだ?」
話をそらすために俺は別の話題を振ってみた
子供「俺に名前なんてねーよ」
いつの間にか暖房の前に移動していたそいつは平然と答えた
子供「もともと、物心ついたときにはいなかったから名前があったとしてもわかんねーし」
太郎「だったらつけてやろうか」
そういうとすごく驚いた顔をした。こういう表情は本当に子供みたいだな
そうしてどんな名前にするかと考えようとしたとき
メイド「旦那様、湯船のご用意ができました」
「タイミングが悪いな」そう思いながら分かったと返事をしてこいつを脱衣所まで連れて行った
脱衣所まで連れて行き服を脱がしていると、俺は衝撃の事実にぶち当たった
太郎「・・・女?」
子供「どうした?太郎?見ちゃいけないもの見たような顔してんぞ」
何事もないかのような顔をして平然と聞いてくるこいつ、恥じらいはないのだろうか・・・
太郎「いや、何っておまえ、女だったのか」
子供「ん?あぁコレか、まぁ見ての通り俺は女だ!」
太郎「なんでお前、女なのに自分の事【オレ】って言ってんだよ」
俺がそういうと少し嫌そうな顔をしながらこう答えた
子供「だってよ、オレの育った場所じゃ、女ってだけでばかにされんだよ。オレだって好きで女に生まれたわけじゃねーのに」
太郎「ま、まぁここでこんな風にしててもあれだし、風呂入るか・・・」
俺はこの時これしか言えなかった。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:太郎 | 作成日時:2017年3月31日 5時