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「“魔獣の森”……!?」
「なんだそのド◯クエめいた名称は……」
(今から3時間……“魔獣の森”……)
「雄英こういうの多すぎだろ……」
「文句言ってもしゃあねえよ、行くっきゃねえ」
文句言いながらも覚悟を決めている皆、そんな中飛び出したのは何かに耐える峰田君だ。
どこかに行こうとする峰田君の前に、マンダレイが言っていたであろう魔獣らしき物体が現れる。
「「マジュウだー!!?」」
(魔獣だ……)
すぐさま口田君が個性で下がるように命令するが、下がってくれない。
(これ、ピクシーボブの個性……？)
「口田君下がって！これただの獣じゃない！」
ピクシーボブの個性により作られた魔獣だと分かった時風は、そう伝えながら口田君の周りに風を纏わせて無理矢理下がらせる。
と、同時に緑谷君、轟君、爆豪君、飯田君が前に出る。4人の攻撃で、魔獣はただの土くれとなった。
(おお……)
『遥久しぶり！』
感心していたところに、久しぶりのマンダレイからのテレパスに体を震わせて驚く。
(テレパス？なんで)
『相澤からの伝言！“本気出せ、12時頃に来れたら昼食にデザートつけてやる”ですって！頑張って！』
「えぇえ?!」
思わず声をあげてしまう時風。
「ハル？」
「いきなり声あげるなんて、どうしました？」
周りにいた芦戸さんや八百万さんが不思議そうに時風を見つめる。
「な、なんでもない……」
なんでもない風を装う時風に、周りの皆は出てくる魔獣を退治しながら進んでいく。
(めんどくさいなぁ……)
『好物なんですってね、イチゴ』
(イチゴ！)
イチゴには目がない時風。すぐさま行動に出る。
最後尾だった時風は、イチゴの為に先頭を走る飯田君に追いつく。
「ハル?!」
「いきなりどうしたんですの?!」
後ろから聞こえてくる八百万さん達の声を無視するように、飯田君をも抜く時風。
「てめえ1人だけ先に行くってえのか!!」
爆豪君が飛び出してきた。
「……ごめん、私もご飯食べたいの」
(イチゴの為に！)
こういう時の時風は顔を輝かせている。あの爆豪君でさえ、ポカンとしてしまう。
それを知らない時風は、風に乗りながら体を回転して後ろを向く。
「ごめん、先に行ってるね！」
返事を待たずに、時風はその場で空気を蹴るようにして風に乗って宿泊施設へと向かう。
(イチゴ、早く食べたいなぁ……)
この時だけ、頬が緩まっているのを自覚する時風だった。
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作者名：末崎時野 | 作成日時：2019年6月26日 12時
