(完結)どうしても彼には敵わない【ars】 (ページ2)

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『大野先輩！』

「わわっ…」

私は晴れて高校生になれた。

それも第一志望だった大野先輩と同じ高校に。

嬉しくて嬉しくて堪らなかった。

もう嬉しすぎて大野先輩に抱きついてしまった。

「ふふ、よかったね。」

『はいっ！本当に嬉しいです！』

美術部であることは知っていたから入学式の次の日の放課後すぐに美術室に行った。

「それで今日のテストはどうだった？」

『う、聞きます？それ』

「一緒に勉強したからねぇ、ちょっと気になるでしょ？」

ふにゃって笑いながら話す先輩はキャンパスの前に座ってて、

私はその先輩の前で立ったままだったからどうしても上目遣いになって、

まあとにかくそんな可愛らしく言われたら嘘なんてつけなくて、

『手応えは…その、微妙です。』

「あら」

『でも教えてもらったとこは分かりましたよ！』

「そりゃよかった」

そう言って彼はキャンパスに向き直して絵を描くのを再開した。