・ 田中Side ページ13
・ ．
「…わざわざ言いに来てくれたの？」
『は、はい、ずっと応援させてもらってるから、直接言いたいなって思って…ってわ！？え、ちょ、樹くん！？』
「ごめん、ちょっとここで良い子にしてて？」
頬をほんのり赤く染めて言うAちゃんがどうにも愛おしくて、つい、腕の中に閉じ込めてしまった。
可愛い可愛いAちゃんはちっちゃくて細くて、細身の俺の腕の中でもすっぽり収まった。
Aちゃんはオタク本能なのか、腕から抜け出そうと必死。
周りから冷やかしがくるけど、そんなん気にしねぇ。
「Aちゃんさ、いつもライブのあととか、ファンレターくれてたでしょ？」
『え…知ってたんですか…！？』
「うん。いつも色んなこと褒めてくれて、俺、めっちゃ嬉しかったの。Aちゃんの手紙読んで、もっと頑張ろう、この子を幸せにしてあげようって思ってたんだ。」
今まで、100を超える手紙を送ってくれたAちゃんだけど、渡せる距離にいても、一度も直接渡してきたことはなかった。
手紙の内容でなんとなくAちゃんの手紙を見つけてたたから、箱からいつもと同じ封筒を探して読むのが、ライブ終わりの楽しみだった。
「俺、Aちゃんのおかげで頑張れたんだよ。ありがとう。」
『ふぇ、……じゅっ、樹くん……！うぅ、泣』
森本「あーあ、また泣いちゃった。」
ジェシー「樹〜、泣かすなよ！HAHAHA！」
「そんなに泣いたら目が腫れるよ〜？もう、笑」
腕の中でちっちゃくなってグスグス泣いてるAちゃんの頬は涙でいっぱい濡れていて、拭ってやるとくすぐったそうに泣きながら微笑んだ。
まじ天使。
「これからも、俺のこと応援してくれる、？」
『当たり前です！デビューしたら応援せえへんなんて、そんな失礼なことしません！！樹くん一生大好きです尊敬してます！』
上目遣いでプンスカ怒るAちゃん。
不安だったけど、安心した。
「んふ、ありがと。俺も大好きだよ？」
『へっ…！？』
「今日も可愛いね。俺頑張るからさ、ずっと俺だけ見ててね。」
『はわっ…樹くんかっこいい……もちろんです…！』
抱きしめたまんまおでことおでこをくっつけると、耳まで真っ赤にして呟くAちゃん。
世界で一番可愛いと思う。マジで。
俺も、Aちゃんのオタクになろうかな？
いや、もうほぼなってんだけどさ、笑
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作者名：しなもんろーる | 作成日時：2022年5月13日 21時
