たとえばこんな、出逢いでも【ky】

どれだけ心を許しているか ページ18

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Aさんがうちに上がって、オレを看病…
何それ、少女漫画とかでよくあるヤツじゃん。

え？えっと、どうすればいい？…寝室…か。
その辺に散らかった服やモノをクローゼットに押し込む。そ、掃除機…かけるか。う、頭痛くなってきた…
いや待って？このジャージ穴開いてんじゃん！もっと小綺麗なヤツに着替えよう…

ひと通りなんとか整えてベッドに横になっていると、キィ…とドアの音がしてAさんの声がした。

A「キヨさん、入りますね？」

キ「あ、はーい…」

寝室のドアから顔を覗かせると、遠慮がちにAさんがこちらに向かう。…うわ、ホントに来た。


促されるままベッドに横になると、Aさんはテキパキとオレの頭の下にアイス枕を入れた。

A「ちょっと、お顔拭いてもいいですか？」

キ「あ、はい…」

そう言うとおしぼりでオレの顔をそっと拭いて、「ごめんなさい、」と呟くと前髪を上げておでこを拭いた。…うう、気持ちいいけど触られてる事にぞくぞくする。風呂入ってないから近づいて欲しくないけど、嬉しいような。心臓はどきどきするし頭はズキズキするし、もう身を任せる事にした。

ヒヤッとした感覚と共に冷却シートが額に貼られ、上下から冷やされてだいぶ楽になった。


A「解熱剤と風邪薬、一応持ってきたけど…飲むかどうかは任せます。あと、喉スプレーの買い置きがあったので枕元に置いておきますね、よかったら使ってください。薬飲むなら、お粥と飲むゼリーを冷蔵庫に入れておくので、お腹に入れてから…」

流石母親だなあ…母さんみたいだ。凄く落ち着く。…そうか、オレは母性を求めてただけなのかな。それなら安心…薄目を開けてAさんを見ると、すぐ側でスマホを操作している。

…伏せた長い睫毛、少し尖らせた赤い唇。白い首すじ、鎖骨にかかる柔らかそうな髪。…手を伸ばして、触りたい…

…いや普通に女性として見てるわオレ。罪悪感で思わず目をギュッと瞑った。


A「家の事やったら、また様子見に来ますね。何か困った事があったら遠慮なく連絡してください。今日は仕事休みなので」

キ「すみません、色々…助かります」

A「私も何度も助かってます、お互い様ですよ」

…ああ、その笑顔。その頬に触ることができたなら…

キ「玄関にあるカギで、カギかけて行って貰えますか？お願いします…」



オレがどれだけ貴女に心を許しているか、貴女は知りもしないでしょう？


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オレばっかり→←彼女、うちに来るってよ

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