ナチュラル ページ29
「私…頑張る。」
早奈達がエエッと目を見開く、隣に座る楽しそうなルカ君と
「俺バカか…。」
と言って下を俯く夢くん。
私が飲むのは果汁100パーセントみかんジュース。
…うーんヤダなぁ…。でも…。
夢くんの、いや夢王子のお願いなら仕方がない。
いきます！
『…んっ……。』
ｺｸｯ、ｺｸｯ…
ｺｸｺｸ…
ｺｸｺｸ…
ﾄﾌﾟﾄﾌﾟ、ｺﾞｸ…………ッフ
『んく…っはぁ、はぁ。』
「先輩……っ水！」
ル「すごい！」
琴「…ないす。」
鈴「なんかマフィアにさらわれた感じよりも風邪ひいた姪っ子を見守る若手警察官って感じがするW W W。」
和「どんなシチュエーションなワケ？謎いんですけど。」
早「これぞ【RAIHI】魂！」
冬「っははは、めちゃ焦ってる
夢が。」
そう言いながら鈴夏達がパチパチと拍手をくれる。
…うぐ、しんどかった…っ！
お腹が冷たくて水風船みたいにたぽたぽしている。
すぐさま夢くんが水を渡してきた。
私は一口飲むとすぐそれを返す。
「すいません…僕のせいで。」
『別に？』
少ししんどかったけれど、
夢くんの シュン、とした表情が可愛くて許しちゃう。
水も用意してくれたしね…。
『お水ありがと、これは私の？』
生徒１人につき貰えるペットボトル。
一本はジュースだというのは聞いたけど…水なんか配られたっけ？
すると夢くんは何かに気づいたのか あ〜…と言って口元を手で隠した。
「これ……僕のですね。」
『えっ！？////』
関節キス…////
夢くんを見ると口元を手で隠したまま耳を真っ赤にしていた。
みんなは王様ゲームに夢中で、
きっと私が“自分”の水を飲んだと思っているのだろう。
私はすぐに心臓のドキドキをできるだけ聞き流して
何もなかったフリをした。
…
冬「夢。」
「…？」
冬「…ナチュラルにしてんじゃねーよ。」
「っ////……あぁ。」
冬也(塩見)くんだけは気づいていたのでした。
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作者名：藤原あめりか | 作成日時：2018年12月20日 17時
