【文豪ストレイドッグス】幽霊少女は、今日河に落ちた

44 ページ48

ドォン、爆発音が聞こえた
医務室で敦の様子を見に行こうと思ったとき、丁度敦が医務室から出ていくのを見た
だから私は彼を追いかけた


「皆殺しだってよ」
「非道い……」
「軍警によるとマフィアの武闘派『黒蜥蜴』の仕業らしい」
「特殊部隊なみに戦闘術を持ち、しかも恐ろしく残酷だとか」


敦がついたのはどうやら工場の跡地。建物は黒く焦げ、野次馬と軍警がいた
野次馬の話に聞き耳を立てれば、黒蜥蜴と云う部隊が行ったものらしい


その中にひとり青白い顔で佇む敦の姿があった
「非道い爆発」そう声をかけると、身体が大きく跳ねる。
ゆっくりと私の方に顔が向く。あァ顔が真っ白

「Aちゃん……」


「敦、戻ろう。此処に居ても胸糞が悪くなるだけ」


私は手を出す。敦はその手を取ってくれなかった。肯きながら、思いつめた表情(かお)をしている
でも何も言えないので二人おとなしく探偵社の帰路を歩く


「ごめんAちゃん、先に帰っててくれる？」


「……待ってるよ。電話、掛けるだけでしょ」


公衆電話を見つめる敦は、多分何処かにかけるんだろうと簡単に予想ができた
だから私は待ってることにした






敦が何処かに電話をかけて数分した。思いっきり受話器を叩き付ける様に置いたのが見えたので、公衆電話の扉に駆け寄る


「帰ろう」
「うん」

今気づいた→←43

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す