素直なあなたに2 (ページ3)

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【mm side】

今日は慌ただしく一日が過ぎて行った。
疲れた、、、精神的にかなり疲れた、、、

俺のミスのせいでみんなに多大なる迷惑をかけてしまったのだ。

俺が対応に走り回っている間、俺の普段の仕事を代わりにこなしてくれていた同僚。
阿部くんの不在時に不慣れであろう書類チェックを回してしまい、今回の当事者にさせてしまった先輩。

そして阿部くん。
山積みの自分の仕事には手を付けずに先方とのやり取りを行い、俺やみんなへの的確な指示もこなし、そして今、相手の会社へ菓子折りを持参しての謝罪にも付き添ってくれた帰りだ。

今朝の電話口でこそ先方の担当者は声を荒げていたようだけど、阿部くんの立ち回りや真摯な対応のおかげで、さっき訪問した時には応接室へ通してコーヒーまで出してくれ、最後には笑顔も見せていた。

阿部くんは本当に凄い人だ。
俺なんて指示がないと何も出来なくて、、、情けない。
ほんとに情けない。

会社に戻る道中、もう日は暮れていてとっくに定時も過ぎている時間。阿部くんは俺を気遣って時折励ましの言葉を掛けてくれるんだけど、気持ちが沈んでいる俺はそれに相槌を打つのが精一杯だった。

会社に到着すると、部署内にはちらほら残業している社員たちが残っていて岩本さんの姿もある。直属の上司への報告を終えて席に戻ると、

「おつかれ！今日は大変だったな！」

岩本さんが缶コーヒーを俺たちに手渡しながら声を掛けてくれ、俺はそれに一礼した。

「いや、俺のせいなんで…みんなに迷惑掛けちゃって…」

俺がポツリと呟くと、岩本さんが言葉を遮る。

「こんなもん迷惑だとも思ってねぇよな？阿部？」

「うん、そうそう！目黒、こんなことぐらいで凹んでたらこれからやってけないからな！」

岩本さんに続いて阿部くんも優しい笑顔でそう俺に言葉を掛けてくれた。

「さっさと机の上片付けてメシ食いに行こう？」

「……はい。」

阿部くんからの誘いを受け、俺はデスクの書類を片付けて帰り支度を始めた。