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少しの間、テーブルを独り占めしていたのだが、ふと隣に目をやるとこちらにも一人で飲んでいる奴がいた。
でも俺みたいにさっきまで誰かと一緒にいた、とゆう雰囲気ではなくて俯き加減で黙々と食べ物を口へ運んでいる。
さっきまであいつらと話してて全く気が付かなかったけど、こいつはいつからここにいたんだ?
「あの、一人ですか?良かったら一緒に飲みません?」
そう問い掛けてみると、隣のそいつはビクッと挙動不審に辺りを見回してから、おずおずと自身を指差して
「ボ、ボクですか?」
と控えめに返答した。
「そうですw そっち座ってもいいですか?」
「あ、はい!どうぞ。」
そう言ってテーブルに乗っている皿やらコップを自分の方に避けてスペースを空けてくれた。
「企画部の目黒です。」
「…経理部の村上です。」
尚も俯いたままで静かに名乗る。
村上くんは今年の新入社員だそうで、こうゆう場は苦手だからと不参加のつもりが同じ部署の先輩に連れて来られたらしい。
「で、その先輩は?」
「店に着くなり、お目当ての女性を見つけて飛んで行きました。」
「ははは!見捨てられたんだ!」
「そうです、、、ふっかさん覚えてろよ!」
「でもまぁそのふっかさん?のおかげで俺たち仲良くなれたじゃん。」
「…そうですね。」
はじめは挙動不審だったし、なんかヤベー奴なのかと思ったけど結局はただの超絶人見知りなだけだった。
普通に面白い奴だし、連絡先も交換した。
「村上くん、今度また飲みに行こうよ!」
「あの、、ラウールでいいです。」
「ん?ラウール?」
「はい、村上真都ラウール。僕ハーフなんです。」
「そんなんだ。どうりで綺麗な顔してるなーと思ってた!」
「いえいえ、目黒さんもめっちゃイケメンですね!彼女さんもきっと綺麗な人なんだろうなー」
「あ、さっきの話聞こえてた?」
「隣にいたんで…盗み聞きみたいなことしてすみません…」
「いやいや、全然大丈夫。」
「是非また一緒に行きましょう。綺麗な彼女さんの話も今度聞かせて下さいね!」
その後は、秘書課の女性の元に行っていた奴らが撃沈して戻ってきて、ふっかさんらしき先輩も悲壮な面持ちでラウールの元に戻ってきたからまたそれぞれのグループに分かれて飲みはじめた。
そして懇親会の翌日から、俺とラウールは連絡を取り合うようになり、仕事終わりに一緒にメシを食いに行ったりもする程に仲良くなった。
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作者名:milk tea | 作成日時:2022年6月14日 6時