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翌日は一緒に家を出た。
会社に到着すると既に岩本さんが出社していて、
俺たちの姿を見つけるなり満面の笑みを浮かべながら近寄ってきて、そのまま阿部くんの頭をわしゃわしゃと撫で回した。
岩本さん、俺の阿部くんに何すんの？
なんてゆう俺の疑問をよそに、恥ずかしそうな表情でされるがままに微笑んでいる阿部くんを見ると、大方岩本さんに俺とのことを相談でもしていたんだろう。
始業後は昨日の自分がしたミスの後処理や、フォローしてくれた同僚たちへの礼などを済ませてやっと落ち着いて席に着き、阿部くんに目をやる。
俺の目の前に座るこの頼りになる先輩、
長年憧れてきた尊敬する先輩が、
俺の恋人になったんだと思い返すと無意識に頬が緩んだ。
「おい目黒、手止まってんぞ？」
俺の方なんて全く見ていなかった阿部くんなのに、責め立てるような低い声と共に手元から目線を上げてギロッと睨みをきかせた。
「すんません！」
今日はミスなく無事に過ごせますように、と仕事に取り掛かった。
昼休み
阿部くんは相談相手だった岩本さんに言わずとも色々察してもらったんだろうけど、俺にもちゃんと報告をしないといけない人がいる。
彼の発案により阿部くんを勘違いさせて怒らせてしまった…とはいえ、あの一件のおかげで阿部くんの本心が聞けた、と言っても過言ではない。アドバイスを貰った先輩。
俺はある部署に向かった。
「すみません、佐久間さんはいますか？」
入口付近にいた人に問い掛けていると、後ろから元気な声で呼び掛けられた。
「あれー！めめじゃーん？珍しいね、どうしたの？」
満面の笑みで俺にそう言葉を掛ける佐久間さんは、俺と阿部くんの進展具合なんて全く知らなくて、付き合ったなんて報告したらどんな顔すんだろう、と少し楽しみになった。
「あの、突然すんません。昼メシ一緒に行けます？」
「おー、俺もちょうど今からだったんだよー！行こうぜ！お前に俺のオススメの店を教えてやるよ！」
会社の近所にある小さな蕎麦屋さん。
いつもの帰り道と逆側にあるから、こんなお店があるなんて知らなかったな。
佐久間さんがオススメしてくれた通りすごく旨くて、今度阿部くんも連れてきてあげようと心に決めた。
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作者名：milk tea | 作成日時：2022年6月14日 6時
