【ｲﾅｲﾚ】我らの戦うメイドさん！！！【ｲﾅｺﾞ】 (ページ35)

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メイド録31 ページ35

それでも今すぐここで首を跳ねることはしない。なぜならメリットが無いからだ。
桜田門の娘の首を得たところで、この任務が完了する事はない。それどころか任務変更や失敗になるリスクのほうが高い。
なら生かして泳がせて、せいぜい見世物にした方がよほどの利益と価値を生む。

『今ここであなたの身に直接手は下さない。…だがあまりにも目に余るなら今の言葉は撤回することになる。
悪知恵が回って頭のいい桜田門さんなら、分かりますよね？この意味が。』

「はっ、貴女にそんな事が出来て？ただ一介の人間が私をどうこう出来ると？」

ふん、と鼻で桜田門は笑う。
彼女が内心何を思っているのかはしらない。
多分、この状況をどう乗り切るか、これからどう動くか、どうやって私に仕返しをするか、あるいは……。

そこまで考えて意識を戻す。物から人間へ、目の前の人物を改めて自分の獲物へと。

随分と活きのいい獲物だ、狩るならばこうでなくては。
じわじわと効くのが私のやり方だ。

『そんな人間に牙を向かれる気分はどう？いい眺めよ、桜田門さん。』

自分が思う最大級の笑顔を見せる。心は目の前の人間の神経を逆撫でてぶちのめしてやりたい気持ちでいっぱいだが。
その目論見がバレたのか単に気に障ったのか桜田門が何かを言いかけた時、勢いよく扉が開かれた。

「なんの騒ぎた？桜田門、綾代。」

急いで駆けつけて来たらしく軽く肩で息をする守さんと、いつの間にか守さんを呼びに行っていたらしい、その…………うーん、誰だこれ。
知らない男子学生が守さんと一緒に駆けつけてきた。
本当に身に覚えがないんだ、ごめん見知らぬ男子くん。

「さしずめこの女がナイフでわたくしを殺そうとしているって所かしら。」
『私の椅子に画鋲設置。聴取で桜田門の命令と判明、これを挑発と受け取り今に至る。』

桜田門と私の声が被り触発寸前のにらみ合い。誰かの小さな悲鳴が上がる。
周りの目から見るからにいつ首が飛んでもおかしくない状況に見えるらしい。
ま、そう見えるようにしてるんですけど。

「つまり最初は桜田門が原因なんだな？とりあえず綾代、持ってるものを片付けろ。桜田門はこっちで話を聞くから。」

「画鋲とナイフじゃ画鋲のほうが悪いって訳！？こっちは殺されそうになってるのよ、その女を連れていくべきじゃないの！」

その言い分だと腹にナイフ刺されて病院送りになった私のが可愛そうって理屈になるんじゃなかろうか。
ま、自作自演なんですけど。