断章取義【続】5

#235 ページ45

…





目を覚ましたら、横にヤスが一緒に寝てて、




回らない頭で何があったかを思い出したいけど、


途切れ途切れでしか覚えてない。




寮の自室におるってことは、

ヤスがここまで運んでくれたんやろうけど。



じゃあ、あの時助けてくれたんも、ヤスかな。



ネクタイ緩めてくれたり、朦朧とする意識の端、

微かに残ってる記憶。





大「…ありがとうな、ヤス……」





右手で頭を撫でてたら、俺も眠くなってきた。



もう少し、寝ててもいいかな。




ヤスを抱き寄せて、一緒に眠る。




ーーー






次に目を覚ましたのは外が真っ暗になった頃。




安「…あ、起きた？痛いとこない？しんどない？」



なんて目が合えば、ヤスの質問攻めが始まる。




大「大丈夫、大丈夫やから。」




安「ほんま？無理してない？」




大「うん、無理してない。


それより、助けてくれてありがとう。」




安「…」




ヤスは少しだけ表情をくもらせて、目を逸らした。




安「大倉のこと、助けたんは、俺やなくて…


1年生の、子。」




大「1年？」



ってことは、見ず知らずの俺を咄嗟に助けたってこと？


それってめっちゃかっこよくない？





安「…まさかどくんっていう子。知り合いなん？」




大「まさ…かど？誰？」





安「…大倉助けた子。

大倉のこと探してた子。」





大「…まさかどくん。今度お礼せなな。」









…

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