ほどけぬ心ならば ページ3
其れでも______________
「私がいつか、自分の足で歩めるようになったならば、必ずヨコハマへ舞い戻って来ましょう。」
私はもう自分の意思を持ったのです。
恐れて立ち止まる等、もう致しません。
只一つ、叶うのならば
「……龍之介さんにも、またいつか、木曜日に逢いましょうと伝えていただけませんか?」
貴方にまた逢いたく思います。
「まぁ、機会があればそう云っておくよ」
太宰さんは顔色を変えずにそう云いました。
「ふふっ、其れではもうそろそろ汽車がやって来ましょう。此処でお別れですね、国木田さんと谷崎さんにも宜しくお伝え下さい。」
其れから一寸して、お父様とお母様、そして私達の乗る汽車がやって来たのでした。
「またね、Aちゃん。元気でね」
私は手袋をした儘敦くんの髪をさらりと撫で、頰を包みました。
「心中する気になったら呼んでくれ給えよ!」
太宰さんは其の間に割って入り、私の髪に口付けました。
「心中はしませんわ」
私は太宰さんをぱっと払って汽車に乗り込みました。
敦くんは暫く固まっていましたが、私が汽車に乗り込むと、一生懸命に手を振ってくれました。
「さようなら、また逢う日まで」
私も汽車から身を乗り出して、発車する迄手を振り続けるのでした。
薄青い空に刷毛で線を引いた様な雲の浮かぶ、大変美しい日でした。
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寝夢 - めっちゃ良かったです!!芥ちゃんとの絡みとか、話し方とか、、全部が!!その後の話とか会ったら読んで見たいです。。。 (2017年7月9日 22時) (レス) id: 0f597acb7e (このIDを非表示/違反報告)
秋津良(プロフ) - 山田猫さん» ありがとうございます〜 (2017年5月8日 6時) (レス) id: fdcf6a8b0e (このIDを非表示/違反報告)
山田猫(プロフ) - すごい感動しました!!流石としか言い様がないです…!! (2017年5月8日 1時) (レス) id: 1f6442e8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:秋津良 | 作成日時:2017年5月7日 10時