目覚めたそこは ページ2
目がさめた。
体を起こし辺りを見渡してみる。Aには見覚えのない部屋だった。それに、少し薬品臭い。自分は、と見てみると、ついさっきまでこの清潔な布団の上で寝ていたらしい。
一体どういうことだろうか、と少しパニックに陥っていると、ふいにふすまが開いた。
?「あ、目がさめたんですね!」
出てきたのは穏やかな笑みを浮かべる少年だった。手には小ぶりの土鍋を持っている。お粥か何か入っているのだろうか。
いや、それよりも気になるのは少年の服装だ。
A(あれって…忍者の服じゃなかったっけ…)
柳色の忍び装束をまとった少年をAはいぶかしげに見つめた。
その視線を感じたのか、少年は説明し始めた。
?「ここは忍術を学ぶ学校、忍術学園です。僕はその生徒でして、驚かせてすみません。あ!申し遅れました!僕の名前は善法寺伊作と申します。」
言い切ると伊作は、Aの枕元に座った。
A「ご丁寧な説明どうも…。」
伊作「いえいえ。とりあえずこれ、食べてくださいな。雑炊です。」
手に持っていた土鍋をAに差し出す。Aは素直に受け取ると、
A「ありがとうございます。しかし何故そんなに手をつくしてくださるんですか?」
と聞いた。学園とはいえこんなにももてなされるとかえって不安になる。
伊作「あなた忍術学園の前で倒れていたんですよ?僕、保健委員なんです。ほうっておけません。」
きっぱり言う伊作にAは苦笑した。忍者ってそう、やすやすと事情を語れるものだったのか、と。Aに忍者についての知識はなかったが、この人は忍者に向いてないかも…と心の中でそっと思った。しかし、雑炊はとてもおいしかった。
Aと伊作は「おいしいです。」と「良かったー」というやりとりを何回も繰り返し、顔を見合わせて笑いあった。
と、そこで、ふたたびふすまが開いた。
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作者名:なめじ | 作成日時:2014年2月23日 0時