高校生とアイドル (ページ18)

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遡ること2年前

高校に入学したての頃、あいりとクラスが離れてしまって教室で１人だった。

私の周りの席は男の子ばっかりで話しかける相手もいなかった。

そんな時、

Aちゃんどの部活入るか決めた？

と1人の男の子が私に声をかけてくれた。

私は、

茶華道部に入る予定。

とだけ答えた。そうすると彼は、

僕も茶華道部に入る予定やから一緒に見に行こう。と誘ってくれた。

私は１ヶ月近くクラスで1人だった私に声をかけてくれた彼にだんだんと心惹かれていた。

私と彼は毎日のように話した。好きなもの、好きな音楽。

６月に入った時彼が

僕、高校生ダンサーで世界目指してるねん。

明後日、大会があるから見にきてほしい。

もし、優勝したら海外の大会に日本代表として出られるねん。

と私に１枚のチケットを渡してくれた。

私は彼がダンサーだということに驚いたが、それよりも嬉しかった。

ありがとう。見に行くね。

そう言ってチケットを受け取った。

大会の日、私は約束通り彼を応援しに会場に足を運んだ。

彼のダンスは初心者の私が見ても素晴らしいものだった。

そのダンスは審査員の目に留まったようで見事彼は海外行きの切符を手に入れた。

私はとても嬉しかった。でもそれと同時にすごく胸が苦しかった。

私、遠い存在の人に恋をしてしまった...

そう気づいてからの日々はとても辛かった。

私はこの思いを伝えたくて、バレンタインデーの日彼を放課後に呼び出した。

素直になれない私は、手作りのブラウニーを差し出し、

これが私の気持ちです。返事をください。

とだけ言って渡した。

でも彼は、

ありがとう。正直Aのこと友達だと思ってたからびっくりしてる。

Aのこと好きだよ。でもそれは恋愛とは違う。

だからごめんなさい。

と言って帰ってしまった。

それから、彼と話すことはなかった。

私の初恋は儚くて、脆くて。でもそれは確かに存在していて。

それから私は恋をすることに臆病になってしまった。

たっちょんだけ。そう言って逃げてきた。

だけど彼になら、たっちょんなら話してもいいかな。