３.失恋の痛手も癒せます ページ3
*
ここにやってきてから１年が経った。
俺は無事に進級して２回生。
大学生活も、シェアハウス生活も、慣れた……んだけど。
「あーあ」
彼女にサヨナラを言われた。
暇になってしまった休日。
「んー」
何が悪かったのかな。
バイト先で出会った女の子。
告白されて週１くらいデートした。
そのうち３回遅刻したから？
１カ月たつのにチューどまりだったから？
毎日のSNSのカキコミは無視しなかったし
それなりに大事にしてたはずなんだけどなぁ。
「何してるの？」
共同リビングのソファにひっくり返って、スマホを見ながらため息をついていたら
ひょっこりと可愛らしい顔が現れた。
「大ちゃん、おはよ！」
「おはよ…ってもう昼すぎてるけど」
「そうだねぇ」
「今日はデートって言ってなかった？」
「うん」
「？ なんで いるの？」
「帰ってきたの」
「え？」
「会って３分でフラれて帰ってきた」
「え！？」
「バイバイ！って思いっきり言われちゃった」
「……」
ぴくんと動いた小鼻。
そっか、と引っ込みそうになる気配を感じて、
俺は覗き込んでいた彼の体をひっつかんだ。
「大ちゃーん！なぐさめてぇ〜」
すっぽりと俺の腕の中に納まる彼の体を
ぬいぐるみのようにぎゅうぎゅう抱きかかえて、すりすりと頬ずりする。
「もー」
仕方ないなぁって
為されるままの、優しくてカワイイ君。
ふわんって甘いミルクみたいな香りがして
ますます手が離せなくなっちゃう。
あの日から変わらず、
俺のオアシスで…
あの日から変わらず、
大好きで、大好きで、大好きすぎる大ちゃん。
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作者名：たると
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/tarutolist01/?plid=tarutoamnos...
作成日時：2018年7月4日 19時
