11.イケメンは突然現れる ページ11
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何も、あんなに睨まなくったってもいいじゃないか。
昨夜の二人のめっちゃ怖かった形相を思い出し、「そういえば〜」ってひらめいた。
ああいうのを
「ワニに睨まれたカッパっていうのかなー」
うんうんと頷いて、ゴロンってソファで寝返りをしたときだった。
「それって『ヘビに睨まれたカエル』だよね？」
「！！」
まったく聞き覚えのない男の声が聞こえて、びっくりして飛びおきた。
声のした方を見たら、
めっちゃイケメン……だけど
迷彩のセットアップっていう残念すぎる服を着た男が
腕組みをして立っていたんだ。
「アンタ、ここの人？」
「え？ あ、うん」
誰？って聞く前に尋ねられて、反射的に応えてしまう。
「平日の昼なのに、なんでいんの？」
「なんでって…」
「大学は？」
「休講だけど」
ふーんと俺の答えに生返事をして、きょろりと周りを見渡す。
「他の住人は？」
「学校とかバイトとか」
「じゃあ、智くんは？」
「大ちゃんなら……って」
Σハッ！！
大事な大ちゃんの情報じゃん。
知らないヤツに、さすがにそれはダメだろ。
ブンブンって首を振って、
俺はそいつを、
自分ではめいっぱいのつもりで睨んだ。
「なんであんたに言わなくちゃなんないのさ！」
「ふーん」
俺の答えに、ちょっとだけ驚いたふうをみせて
そいつは、にやっと笑った。
「まぁ いいや」
ドアから離れて、くるりと反転する。
「智くんがいないんなら帰るわ」
「ちょ、ちょっと！！」
俺の呼び止めなんて聞きもしないで
勝手に入ってきたヤツは、
勝手にさっさと出て行ってしまったんだ。
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作者名：たると
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/tarutolist01/?plid=tarutoamnos...
作成日時：2018年7月4日 19時
