Blue Ocean ～青色王子に夢中～ (ページ31)

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毒舌執事のとある出来事１０ Last ページ31

「非常に興味深いお話だと思いました」

「…………」

わたくしを真っすぐに見る瞳が、数回しばしばと瞬きます。

長い睫毛を発見いたしました。

「珍しい人だ」

「！」

ほんの少し。

口許が緩み、瞳が柔らかな光を生む。

彼はなんという表情を隠していたのでしょう。

わたくしは、いたく感動してしまいました。

「あの、よろしければ」

「はい？」

「わが主の屋敷には、たいそう珍しい南京錠があると聞いております。見に来られますか？」

「珍しい南京錠？」

彼の目がキラキラと輝きました。

「そろそろ出掛けましょう。お仕事を終えた後に、鍵のある場所へご案内いたします」

そう、旦那様より譲り受けた南京錠。

それは、

わたしくしの部屋にございます。

ティーセットを片付けながら、にっこりと笑顔で彼を見つめました。

「はい」

彼の笑顔は、また素晴らしい。

本日夜勤で屋敷にお戻りにならないお嬢様に、たまには気が利く方だと感謝しつつ。

わたしくしは、この可愛らしい方を、どういうVIP待遇でお迎えしようかと思案したのでございます。

[fin]