Blue Ocean ～青色王子に夢中～ (ページ29)

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毒舌執事のとある出来事８ページ29

「……………」

何故いるのですか？という表情でしょうか。

わたくしはかまわず、アフタヌーンティーセットを、作業台のような机に広げておりました。

本日は、香り立つアールグレイのミルクティーを用意いたしました。
スコーンはもちろん、わたくしの手作りでございます。

「わが主の屋敷のセキュリティーについて、ご相談をさせていただきたくて、参りました」

「受付で、別の部署を案内されませんでしたか？」

「はい。ぜひ榎本さんにお願いいたしますとお伝えしたら、その旨をご了承いただきました」

「そうですか」

そこまで話すと、彼はスッ向きを変えて、さっさと身支度を整え、

「では、現場をみせていただきます」

とドアの方へさっさと歩き出してしまいました。

「榎本さん、申し訳ありませんが、アフタヌーンティーの時間でございます」

「？」

ドアにかける手を止めて、振り返る彼に、テーブルに置いた、温めたカップを手で示し、15度の角度で軽くお辞儀をしてみせました。

「これにお付き合いいただいてから、屋敷の方へご案内いたします」

「………そうですか。わかりました」

また、キビキビした動きで戻ってきた彼に、とびきり美味しい紅茶とスコーンを振る舞う。

何故、わたくしはこんなに気持ちが高揚しているのでしょうか。