57.おいらの部屋 ページ9
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その園から数百メートルほどのところにある、クリーム色の壁のハイツ。
およそ８年前には新築だった建物も、少し年季が入ってきている。
「こ……ここですか？」
「そうです」
「え？ ホントに？」
「ホントです」
おいらがごまかしてないかと心配する相葉先生が、
園に車を置いて、一緒に歩いてついてきていた。
「夜遅いですけれど、
ホントかどうか確認も兼ねて、上がっていきますか？」
まだ疑ってそうな相葉先生を、部屋に誘ってみる。
「いいんですか？！」
食いついた(笑)
２階建て、４室ずつあるハイツが３棟並ぶ敷地。
駐車場を横切って、一番手前の棟の２階の部屋。
「あまりきれいにしてないけど、どうぞ」
「お…お邪魔します//」
鍵を開けて、電気をつけて中に入ると、
相葉先生も緊張した面持ちで靴を脱いで上がってきた。
小さなオーディオセットとローボード。
電子ピアノキーボードと、ノートパソコンが置きっぱなしの炬燵。
少し物を端っこに退けて、炬燵とヒーターの電源を入れた。
「何か飲みますか？」
「え！？ じゃ、じゃあコーヒーを」
「わかりました」
「Σああ！！いや！！(汗)
大先輩にそんなことさせられない！
俺がします！！(汗)」
わたわたとおいらを追いかけてきた相葉先生が台所にやってくる。
「お客さんなんだから、炬燵であったまっててください」
「でも……」
きょろきょろと部屋の中を見渡す相葉先生に気づいて、苦笑する。
「殺風景でしょ」
「はい！？(汗)」
「男の一人暮らしで、仕事から帰って寝るだけの部屋だし(笑)」
「あ……えっと……その……(汗)」
言いよどむ相葉先生。
ピィーとケトルのお湯が沸いた。
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作者名：たると
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/tarutolist01/
作成日時：2015年12月2日 12時
