79.増殖？ ページ30
.
特定の保護者からの贈答品は困る。
そう断るのだけど、
決死の覚悟で買ったものだから、どうしても受け取ってほしいと
櫻井さんは一歩も引かない。
「なんでそんなもんしか思いつかねぇんだよ！」
と、和に散々な言われようをされ、何度も脛を蹴られても
「プレゼントといったら、これしか思い浮かばなかったんだ！」
と、頑なに粘る。
まだ部屋の残っていた潤まで玄関に出てきて、
「なかなか やるじゃ〜ん。このイロオトコ♪」
と、からかってくるし……。
「参ったなぁ……」
首を撫でて、どうにも対処できないでいるおいらを見かねて
もう一人の延長当番で残っていた先生が、
事務所へと行って、園長を呼んできてくれた。
「素敵なお花ですね」
にこにこと笑いながら出てきた園長に
櫻井さんの背筋がピーンとのびる。
「和が、いつもお世話になっております！！」
「まぁまぁ」
園長……どうするつもりだろう。
二人の様子をうかがっていたら、
ザクザクといつものヒールの音が聞こえてきた。
「智先生ー♪」
「松本さん、こんにちは」
「あら、先客がいらしたの？」
「え……あの……(汗) それ……は？」
「智先生にプレゼントもってきちゃいました〜♪」
潤が靴を履かずに母親へと走り寄る。
「やるじゃねーか、A！ 超かっけぇ！」
「んふ♡ 素敵でしょ♪
これ見たら智先生のイメージにぴったりで、ついがんばっちゃったー♪
潤、朝の足止め作戦も成功したんだから、ほめてよ」
「おう！ すげぇよ、A！
やっぱり オレのAは世界一イイオンナだぜ！」
足止め作戦って、今朝のあれか！！
「はい♡ 智先生
Happy birthday♡」
Σ増えたぁぁー！(涙)←
櫻井さんの真っ赤なバラに並んで
今度はブルーローズの花束が、おいらの前に差し出された。
プレゼント自体も困るけど、
おいらに、花なんて合うはずないじゃーん(涙)
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 414人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たると
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/tarutolist01/
作成日時：2015年12月2日 12時
