51.出向先の園にて ページ3
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園に着いて車を降りたら、
２階の事務所から窓の外を今か今かと見ていたらしい副園長が
ソッコーで駆けつけてきた。
「智先生！！」
「こんにちは、副園長先生。
急なことで申し訳ありませんが、今日からお世話になります。
よろしくお願いします」
「ここ…こここ…こちらこそです！！！！(汗)
智先生に来てもらえるなんて、本当に助かります！！
園長先生から電話があったときはビックリしましたよ
それにしても
相葉先生ッ！！！(怒)」
「は、はいっ！！(汗)」
「あなたは、何て無謀なことをするんですか！
勝手に園を飛び出していったと思ったら、まさか直談判にいくだなんて！！
非常識も甚だしい！！」
副園長は、たいそうなご立腹ぶりだ。
咄嗟においらの後ろに隠れた相葉先生を、怒鳴り始める。
その騒動で、園庭で遊んでいた子供たちが
何事かと、低いフェンスの向こうから気にし始めていた。
「あの……副園長先生。
早速ですけが、中に入れていただけませんか？
おいら、早く子供たちに会いたいので…」
「Σあぁ！これは失礼！」
おいらは、フェンスごしに覗き込む子供たちに、
にっこり笑いかけて、小さく手を振った。
誰？誰？ってなって警戒してる子。
人懐っこく手を振りかえす子。
ビックリして隠れる子。
直接声をかけてくる大胆な子。
うんうん。
いろんな反応があっていいな。
副園長と相葉先生の後ろについて、駐車場から園舎に入る。
少し造りが違う園舎に緊張はするけれど
聞こえてきた子供たちの声に、
保育士としてのおいらの姿が降りてくるような感覚を覚え
自然と…要らない力が抜けていく。
自由時間で遊んでいた子供たちが、
やってきた『見知らぬ大人』のおいらに気づく。
その子たちの一部が好奇心にかられて、わらわらと集まってきた。
「ダレ〜？」
「ねぇねぇ、お兄ちゃん、だれ？」
「新しい先生？」
副園長が「また後で紹介するから」というけれど
そんな大人の段取りなんてかまいやしない。
ああ、いい子供たちだ(笑)
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作者名：たると
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/tarutolist01/
作成日時：2015年12月2日 12時
