62.別れた理由 ページ14
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「今度のことで、思ったんです」
「何を？」
「智先生も… A先生も…
まだ……お互いを愛してるんじゃないかって……」
「…………」
「違いますか？」
この人も、ストレートだなぁ(苦笑)
「………違うと思うよ」
「でも！」
「少なくとも、彼女は君を好きになった。
そして……結ばれたんだろう？
そんな彼女の気持ちを疑うというの？」
「あっ……//」
『違う』と言うおいらに反論しようとしていた相葉先生は、
顔を赤くして、黙り込んだ。
「でも……そうだな。
誤解がないように、というか……
二人が幸せになるために、君が納得しなくちゃね。
何故、おいらたちが別れたのかを
ちゃんと伝えておくのは必要なことなのかもしれない」
「………智先生」
彼はぎゅっと唇を噛んで、お願いしますと頭を下げた。
「おいらは、Aの夢を叶えてあげることができなかったんだ」
「夢？」
「うん、……彼女の一番の夢」
「……？」
たったひとつの…… 当たり前の幸せ。
「自分の子供を産み育てたいという夢だよ」
おいらの言葉に、えっと声を漏らす相葉先生。
「子供が大好きで、保育士になるのが夢で……
そして、何より『母親』になることを、彼女は望んでいた」
「……それ…って？」
「うん、当たり前のようだけど……
おいらたちには『当たり前の幸せ』じゃなかったんだ」
「え……なんで？
お二人とも仕事が忙しかったから？」
「んふふ 仕事は忙しくったって、一緒に暮らしてるんだもの。
一応の夫婦生活くらいできるよ」
「じゃ……」
「３年……治療した」
「！」
「でも……無理だった」
「…………」
「だけど……今 Aは妊娠している。
じゃあ、どっちがダメだったかなんて……明らかじゃん」
「………あ……(汗)」
あーあ、カフェオレなくなくなっちゃったや。
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作者名：たると
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/tarutolist01/
作成日時：2015年12月2日 12時
