微睡んだ先でfeat.JK ページ10
.
夏も間近、Aと会えないまま、2か月が過ぎた。来月は俺の誕生日がある、そんな中。
一人きりの家、キングサイズのベッドで仮睡していた筈が、不思議な夢を見た。まるで馴染みのない景色、匂い。夢かを疑うほどの、現実味を帯びた世界。
金に光る小麦が風に揺れる。
その奥にある、古びた屋敷。
"嗚呼ダメですよ、そっちまで行っちゃ"
"だいじょうぶだよ、ぼくもうこどもじゃないんだから"
"あらあら、まあ......では私もお供致しましょう"
誰?誰なんだ?
俺が見えていないのか、横を通り過ぎていった、子供と使用人らしき女性。
さらさらと指通りの良さそうなブロンドの髪を靡かせて、小麦の金を瞳に閉じ込めた少年。
微笑んでその後をゆっくりとついていく、淡いグレーの髪をきちんと結んだ、真っ青な目の女性。
.
幸せそうに、風に揺れる小麦の中を抜けていく。
.
"やめて、やめて......痛い、痛いよ母様"
"_____様......ああ、あぁぁっ、ッ"
.
俺はいったい、何を、見て
.
_______「間違えるな。お前は、決して.....」
.
夢から覚める瞬間、ぼやけた視界に映った、悲しげな表情の男の人。何処か、あの少年にも似た、青年。
こっちに伸ばされた手は、届くことはなかった。
でも、
「ッ、?なんで、泣いて、」
頬を流れた涙と、胸の奥できりきりと痛むこれは。俺は確かに、やり場のない悲懐を抱いていた。
やけに鮮明な夢。愛おしくて、悲しくて、懐かしい。
小麦の匂いも、風も感じた。頬を撫ぜてった風は、確かに柔らかくて暖かかった筈。小麦が風に揺れて、さらさらと音を立てていたんだ。
あの二人を、俺は知らない。
でも、何故だか懐かしいと思う。
俺が俺じゃないかのような感覚。まるで俺の中で、俺じゃない何かがあるみたいな。気持ち悪い、そんな感情。
「っA......会いたい、A....」
顔を見たい、声が聞きたい。その身体を、腕の中に閉じ込めて。そしたら、安心できるのに。
震える身体を、冷たい指先で包むように。
.
止まらない涙に、顔を膝口に埋めた。
.
不安に押し潰されそうな、そんな白昼夢。
.
303人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
▲たると▽(プロフ) - 青衣さん» コメントありがとうございます!楽しみにして頂けてるなんて、更新頑張れます!青衣様もご健康でお過ごし下さい(* ´ ` *) (2021年1月15日 21時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
青衣(プロフ) - まださむいので体調にも気をつけてくださいね (2021年1月14日 23時) (レス) id: 13074a2c40 (このIDを非表示/違反報告)
青衣(プロフ) - 更新ありがとうございます。ずっと楽しみにしてました。これを楽しみに頑張れます! (2021年1月14日 23時) (レス) id: 13074a2c40 (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!ゆっくりではありますが更新頑張ります(* ´ ` *) (2021年1月14日 23時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - ▲たると▽さん» 更新再開嬉しいです!作者様のペースで無理せず更新なさってくださいね。応援しています(´ω`) (2021年1月14日 10時) (レス) id: 6e5c7cab71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:▲たると▽ | 作成日時:2020年11月30日 22時