▼午前6時の魔法使い△[完]

順繰りに思い返してfeat.JK ページ16

.




数千年の間、何度も繰り返した人生。繰り返す度、必ずAが先に逝ってしまう。それに気づいたのは今世から37回前。

37番目の俺が、ジョングクとして生まれた。



一番最初の俺が、クロノスそのものに近しかった。だから何度も繰り返す羽目になってるんだと思う。








"Aと共に生きたい"









たったひとつ、その願いだけの為に。失敗する度、間違う度、何度も何度もやり直し。リセットされる人生。


そこに巻き込まれるように、ヒョンたちは毎回現れる。





そして、等々そんな繰り返すクロノスの呪縛から逃れるように歪んだ、ルタの存在。彼が抗ってから、やり直す度変わる俺の目の色を、Aは取り込んでいった。


ベキリーブルーガーネットの綺麗な目。




俺の生きた数だけ、その瞳に塗り重ねられる色。







うんざりするほど、気が狂いそうなほど繰り返したって俺が好きになるのはAだけ。もう冷たいその身体を抱き締めるのは終わりにしたいんだ。


たったひとつ。ただそれだけの願いだから。








腕の中でぴくりともしないAに、ルタが向ける瞳は優しい。ゆっくりとこっちに来て、床にそっと片膝をつけた。

Aの少しばかり乱れた髪を撫でて、泣きそうにくしゃりと歪められた顔は迷子の子供みたいで。



胸の奥が苦しい。








｢僕が教えてあげられるのは申し訳ないけど、答えじゃないんだ。それはきっとあの人の役目だから｣

『あの人.....？』

｢必ず君たちが巡り会うよう、動いていた人だよ。僕が今から言うことを、君はよく聞いて覚えていて｣






さらりと揺れる前髪の奥から、柔らかな色を灯した瞳が俺を見つめる。寂しげで、それでも暖かな光。




Aに触れていた左手が、俺の手にそっと乗せられる。あったかくて、少し小さい。








｢良い？君は今世で必ずこのやり直しを終わらせる。その為に考えるんだ。本当に悪いのは誰？誰の言葉が嘘？誰が、この子を殺すの？｣








"君たちの幸せを壊す存在を、君が壊すんだよ"









聞きたいことは沢山ある。なのに、泥に沈むように身体が沈む。腕の中の愛おしい人だけは決して離さないよう、抱きしめたまま。







.









.








世界時計の姿が、やけに目に焼け付いている。









.

全てfeat.YG→←答え合わせfeat.JK

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す