▲午前6時の魔法使い▽［完］

厄介な体質ーTH ページ9

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覚えのある目だった。見えた少女はきっとAと同じ新入生で、Aに執着してると思った。

あの目は何度も向けられたことあるから。でも、まさかその反面向けられる憎悪や嫉妬を、俺が向けられるとは思わなかったけど。


...Aの目は人を惹きつける。きっと俺とグガが離れれば、友達や取り巻きなんて簡単に出来る。だけど、Aは俺らといる事に安堵するらしい。





湖へと着いてすぐ取り寄せたハサミでグガが髪を揃えて、俺はその間にグリンデローを一匹捕まえといた。

ボブになってしまった髪。俺に向けられた憎悪を、無言で。しかもあの呪文は魔法使いの中でも使えるのは少数だ。



それを、無言で使った。Aの実力なんてその時点でなめてかかっていいもんじゃないと知れただろうなあ。

そういややけに静かじゃん。


ぱってグガを見てぎょっとする。



｢なっ、んで、泣いてんの！？｣

『...っえ？ぇ、あ、ジョングク！？』



切り終わってハサミを力無く持ったまま、Aの髪を凝視してぼろぼろ泣いている。何これ！？

二人で声をかければ尚更しゃくり上げる声は酷くなった。



｢お前は何も悪く無いだろ〜！何でグガが泣いてんの！｣

『あ、ちょ、擦るな！ほら、あ〜もうどうしたの』



Aが、グガをあやしてる。


いつもと逆じゃん。




ハンカチで目をそっと拭いてやるAを抱き締めて、グガが何とか言葉にした声。



JK｢だ、って...っぅ、かみ、っが...っ...｣


『...え、あ、髪？いや、別に暑かったし良いけど...こだわってもなかったよ私』


だから泣かないでって、そう言って背中をポンポン叩くのを見て、何かこう、二人とも可愛い後輩だから。ぐってきちゃって。

そんなふたりごと抱き締める。



｢だいじょーぶ！ジミナなら倍で返してくれるよ♪｣
『それもそれで安心できない』

JK｢っぐす、倍じゃ足りません...｣

『何で？』




きらきらと晴れてきた空から反射する光で、グガの目が涙を含んで更に綺麗に光る。Aがそれを眩しそうに見るけど、俺には君のが眩しいよ。


髪をばっさり切られてしまったのに、俺らの方を優先するの？だから泣かないAの代わりに、グガが泣くんだね。


なら俺は、怒らないAの代わりにこっそり何倍にもしてお返ししておくよ。こっそり、ね。




『大丈夫だよ。二人が何も無いなら』





厄介な体質だよね、同性まで執着させるなんて。


だから守ってあげる。可愛い後輩ちゃん。




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