七下がりの雨 ページ41
*
三本の箒で軽くご飯を食べて、バタービールを飲んで温まる。グガは相変わらず良く食べるし、私に量が食べられない分自分が食べる物を小分けにくれる。
...好きだなあ、そう言う気遣いが出来るとこ。
私が話す時、誰かが話す時。そっちを見て話を聞いてくれる。笑うと優しく目尻に皺を作る。優しい声で、名前を呼ぶ。
...たったこれだけの期間で、こんなにも惹かれることってあるんだなあ。
幸せを噛み締めるように緩む口元。ホグワーツに来てから、ずっと笑うようになったって自覚があるくらいには幸せだと思う。
時折不安になるくらい、穏やかで緩やかな日々。
目の前の、バタービールを飲む私を優しげに見つめて笑うグガに、私は確かな淡い気持ちを抱いてる。
気づけば壁掛け時計の時間は4時前をさしていて、余りの時間の速さと居心地の良さに内心驚いている。好きってこんなに変化があるのか。
...本でしか知らないことばっか。
グガは沢山、私の知らないことを教えてくれる。
雪が積もって危ないって、握られた手に緊張しすぎてどうやってキングズクロス駅近くまで来たか覚えてない。
ぽつり、頬に当たった冷たい感覚に漸くはっとする。
JK「雨...ちょっと急ごう、走れる?」
『勿論。どっちか転けたら道連れだ』
じゃあ仲良く埋もれようか。笑ってそう言ったグガに手を引かれて走り出すと、勢いをどんどん増す雨。慌ててホグワーツに駆け込んで、廊下で止まる。
『っはぁ、っは...あー、プレゼントは大丈夫だね』
JK「、っふぅ...うん、俺のも大丈夫」
底冷えする寒さに手に息を吹きかけてると、不意に取られた両手。グガの手はあったかくって、大きい。綺麗な手...
きゅ、って指先を握り返すと、ぴくりと震えた手。
JK「っ、A...」
『ん?...っ、ん...!』
顔を上げたその一瞬の内に重ねられた熱い温度に、ひくりと喉が震えた。
離れたと思えばまたくっつく唇に、腰に添えられた手と後頭部を支える手に。身体の中が沸騰しそうなほどの熱が駆け巡る。
しとしとと降り続く七下がりの雨の中、冷えた身体にジョングクの温度は熱い。
熱くて、堪らない。
〖
午後4時を過ぎて降り出した雨。
何故か大概長く、しとしとと降り続く。
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見ててわかるかもしれませんが、たるとは和用語が大好きです。洋風な話なのにややこしいかなーって悩みます。
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▲たると▽(プロフ) - Nightsさん» まずはご返信が遅れてすみません!宝石の色味などにはこだわっていたので、良かったです。作者自身もハリポタが大好きなので、凄く嬉しいです、コメントありがとうございます...! (2022年9月7日 11時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
Nights(プロフ) - 馴染みのない宝石の色が多くで、調べたところどれも素敵な色でした……!ハリポタの世界観を壊さずに表現していて凄かったです!! (2022年3月31日 15時) (レス) @page1 id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - Kさん» 返信遅くなりました汗コメントありがとうございます!思ってたよりも好評だったので、今月中に新シリーズか番外編を出そうと思います。ご要望できる限り反映させますので、お待ちください(* ´ ` *) (2020年11月21日 8時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - とってもとっても満足でした!ハリーポッター大好きで、さらに面白く捻ってあって最後まで楽しめました!続編とか対悪みたいなのも期待しちゃったりして、、、ハリーポッターネタガンガン出してくれると泣いて喜びます!これからも応援してます! (2020年11月19日 17時) (レス) id: ae5af89168 (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - マミさん» 初めて書いた作品なので色々おかしな所もあったのですが、沢山悩んで書いて良かったです!凄く褒めてくださって、励みになります。コメントありがとうございます(* ´ ` *) (2020年11月18日 11時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:▲たると▽ | 作成日時:2020年7月8日 2時