桃色に染まる ページ16
*
ぱっと目を開けた瞬間、視界には桃色の髪ときらきらと光を眩いばかりに取り込んだモルガナイトの目が入り込んで、思わず口元まで布団を被った。
目をぱちくりさせて、何で被るのって笑う。
JN「初めましてAちゃん。僕は保健医のキムソクジン、どうしてここに居るかは覚えてる?」
その言葉で漸く、ぼやぼやと記憶を頼りげなく辿る。
TH「箒はね〜、ちゃんと自信を持って命じるんだよ。"上がれ"」
こんなふうにね、って掌に箒の柄を収める先輩を見習って言ってみるものの、梃子でも動こうとしない箒にうんざりする。
どうして昔から箒だけが出来ないんだろう。
横じゃジョングクがころころと体制を変えながらアクロバティックに動いてるのが、らしくもなく羨ましくってしょうがない。
溜息をつきながらも真剣にやってると、テヒョン先輩が後ろから包み込むように一緒に箒に跨った。そのままだよ、って浮き始める足元。
直後、ぐらぐらと不規則に揺れだして。地面から4メートルほど離れた頃に嫌な予感を感じ取った私は確か、そう。咄嗟に浮遊呪文で先輩だけを地面に降ろして...
『...暴走した箒で塔にぶつかりましたね』
JN「うんうん、意識もハッキリしてるし大丈夫だね」
出来ればそこらへんの記憶はすっぽ抜けていて欲しかった。頭を抱えて絶望する私に見た目に反して高い声で笑う先生に一瞬固まった。
きゅっきゅ言ってるみたいだ。
まあまあ、って差し出されたファッジ。バターと砂糖とコンデンスミルクを煮詰めて冷やし固めた柔らかくって甘いキャラメル。
口に含んだ瞬間から溶けだして、噛まずともとろとろと形状を無くしてしまった。余りの驚きに戸惑っていると、先生が嬉しそうに笑う。
JN「僕の手作り。いい感じでしょ!幾つかあげるから元気出しなさい!!あ、テヒョンアがジョングクと一緒に迎えに来るから」
ここで待ってたら来るよ、って持たされたタッパに入ったファッジ。溶けないように一定温度の魔法がかかっているので冷たい。
『二人は何処に行ったんですか?』
JN「んー?Aの為にお見舞い品持ってくるー!って」
思い浮かぶ当たりが面白い。先輩とかとんでもないもの持ってきそうだもんね。グガは多分止めるけど止まらないんだろうなあ...
ひんやりとしたファッジを口に入れて、目を瞑る。先生にあと少しでも安静に、って身体をゆっくり倒されると、不思議と襲ってきた眠気に意識が飛んだ。
*
512人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
▲たると▽(プロフ) - Nightsさん» まずはご返信が遅れてすみません!宝石の色味などにはこだわっていたので、良かったです。作者自身もハリポタが大好きなので、凄く嬉しいです、コメントありがとうございます...! (2022年9月7日 11時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
Nights(プロフ) - 馴染みのない宝石の色が多くで、調べたところどれも素敵な色でした……!ハリポタの世界観を壊さずに表現していて凄かったです!! (2022年3月31日 15時) (レス) @page1 id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - Kさん» 返信遅くなりました汗コメントありがとうございます!思ってたよりも好評だったので、今月中に新シリーズか番外編を出そうと思います。ご要望できる限り反映させますので、お待ちください(* ´ ` *) (2020年11月21日 8時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - とってもとっても満足でした!ハリーポッター大好きで、さらに面白く捻ってあって最後まで楽しめました!続編とか対悪みたいなのも期待しちゃったりして、、、ハリーポッターネタガンガン出してくれると泣いて喜びます!これからも応援してます! (2020年11月19日 17時) (レス) id: ae5af89168 (このIDを非表示/違反報告)
▲たると▽(プロフ) - マミさん» 初めて書いた作品なので色々おかしな所もあったのですが、沢山悩んで書いて良かったです!凄く褒めてくださって、励みになります。コメントありがとうございます(* ´ ` *) (2020年11月18日 11時) (レス) id: 53fe41528b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:▲たると▽ | 作成日時:2020年7月8日 2時