あの子になれなくて

出会った頃は -ウジ- ページ29

初めてクラを見たのは
SEVENTEENが結成される直前のことだったと思う。


初めはユナが1人で残って練習していると思い、声を掛けた。

「ユナや、そんな遅くまで練習か？」

「あ〜…すいません。私ユナじゃないんです」

「は？何言ってるんだよ笑」

「ユナから聞いてません？ユナの双子の妹です」

「あー、何か言ってた気がする」

ユナが双子の妹がここの練習生になったと嬉しそうに話していたのを思い出す。でも、正直ここまで似ているとは思わなかった。

「で、名前は？」

「クラです。すいません、あなたの名前も教えていただけますか？」

「イジフン。お前より一個上」

「あぁ。ユナからよく話聞いてます。歌の上手なオッパがいるって」

「あっそ。そういえば、今日は早く帰った方がいいぞ。夜中から雨降るって」

「そうですか。教えてくれてありがとうございます。ではさようなら。」







「何だあいつ…」





初めは暗くて無愛想で、顔はユナにそっくりだが、性格は全く違うやつだという印象だった。





SEVENTEENが結成された直後もその暗い性格のままで、ユナにクラがどういうやつか聞いてもあまり話したがらなかったし、クラもあまり探られたくなさそうだった。





でも、それは突然だった。
クラは暗かった性格を変えて明るい性格になったのだ。メンバーみんなは遂にクラが心を開いてくれたって喜んでいたけど、俺はそれが不気味に感じた。


「お前なんでいきなりこんな明るくなったんだ？」

「慣れですよ！慣れ！私人見知りなんです。ウジオッパにも他のメンバーにも心を開いたんです〜。前の私の方が良かったですか？笑」



オッパと呼ぶのも躊躇っていたあの暗い性格とは真逆でふざけたように笑顔で話すクラはやっぱり少し不気味だった。でも、笑った顔がすごく可愛くてそのことを強く問い詰めることは出来なかった。











「いや、前より今の方がいいんじゃないか？明るくて」









後にこの言葉が
クラの呪いのように纏わり付くとは知らずにあの頃の俺はクラにそう言ったんだ。

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ラッキーカラー

あずきいろ

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