【A3!】たるちファンな私は転生して劇団の助監になりました3【茅ヶ崎至】

たるちファン＊祈りのような ページ15

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『バカなミカエル...』

『心配してくれるんだね､ラファエル』

『人間を好きになっても不幸になるだけだぞ｡
俺には分かるんだ』



ついに始まった冬組の千秋楽｡

皆あれだけのプレッシャーを感じていないかのように...いや､むしろ感じているからこそなのか､今までの公演の中で1番演技が冴えきっている｡


特に幼馴染コンビの掛け合いは､まさに魂でのの語らいで､観ている人は皆惹き付けられる｡



『へえ､お堅いミカエルが随分大胆な事を考えるんだな｡それなら､人間界に下りればいい』



人の気持ちが分からないと言っていたアリスさん｡


GOD座の差し金で皆がバラバラになりそうだった時､やり方は不器用だったけれど､誰よりも皆と一丸になろうと奮闘していた｡

あの頃以来､他人への理解を深めようと努力して､役への理解も深まったと思う｡



『彼女の魂はもう天に迎える日が決まっている｡
余計な横やりは止めてくれ』



実は誰よりも周りに壁を作っていたであろう密たん｡


皆と長く過ごしている間に自分の居場所だと認めてくれたのか､次第に心を開き始め､よく言葉を発するようになったと思う｡

そのおかげか､以前より演技でも感情が豊かになった｡



『彼女からの手紙だ｡悪いがもう手紙は届けられない｡すまない...理由は手紙を読めばわかると思う』



演劇を始めた当初は添い寝屋だった事を後ろめたく思い一線を引いていた東さん｡


アリスさんから"添い寝屋で培った色気を武器にすればいい"と言われてから演劇にすごくのめり込むようになった｡

今演じている間にも､もっと舞台に立っていたいという思いがひしひしと伝わってくる｡



『それでも､初めて愛した人を守れて親友の君に魂を送ってもらえるんだから､僕は幸せだよ』

『ミカエルの大馬鹿者!』

『ありがとう｡永遠に君と共に...』



まるで祈りのように呟き､ミカエルが息絶えたところで終演｡幕が降りたあと､沈黙が辺りに広がった｡


しばらくして､思い出したかのように拍手が広がる｡



｢ブラボー!｣

｢___っすごい良かった!!｣




｢びっくりした...｣

｢随分焦らされたね｣

｢全然鳴り止まないな｣


｢っ...皆!最高の出来だった!!今までで1番ですよ!!
最後ラストスパート､行ってきてください｣

｢...ありがとう｡それじゃ皆､カーテンコール!!｣


袖から出ていく皆の姿は､すごく､たくましかった｡

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