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Aに任務を与えて1週間が経った今朝、ふらりと帰ってきたその姿はいつもの堅苦しいネクタイやスラックスなどでは無かった。
変装と身分の偽装、動きやすさを好んでか行商人の、しかも男としての格好だった。シルクハットを取りさればするりと背中までの柔らかな栗色の髪が現れ、礼をした際にするりと解けていく。
さすが暗殺を営む一族と言うだけあって、気品やら何まで言われなければ恐らく誰もわからないだろう。
ユンギと、偶然別件で話をしていたナムジュンとホソクもびっくりして目をぱちぱちさせている。
余程動揺したのか、ナムジュナに至っては手中の新聞がぐしゃぐしゃだ。
『只今戻りました。ご報告をと出向かせて頂いたのですが、改めた方が宜しいでしょうか？』
「いや、このままで大丈夫だよ。まずはお疲れ様。ほら掛けて」
『あ、いえ、このままで、』
「座れよ。スビナ、紅茶をいれてやれ」
「畏まりました」
少し戸惑ってからまた頭を下げ、失礼致しますと真正面のソファに腰掛ける。初めて髪を下ろした姿を見たせいか、やけに新鮮だ。
重たそうな革の鞄から出された数枚の報告書と、何枚かの写真。
到底普通ならば入手できない城内の情報な訳だが......
どうやって？と顔を上げたのを察したらしい。
『ミスゴールスタインは真新しい装飾品や洋服を好み、他国からの行商人を多く使用していますので。入国審査はかなり徹底されていますが、1度入ってしまえば後は特に問題はありませんでした』
「.....ひょん、」
「これはまあ、想像以上だよ。ふふ、君に出来ないことが何なのか、ますます気になる所だけれど......」
ちらりと壁にかかる時計を見て、スビナのいれた紅茶を飲み干したAににこりと笑いかける。
「テヒョンが相当ご立腹でね。その格好のままで良いから、いつもの場所に行ってくれるかい？」
『、畏まりました。それでは、失礼致します』
「A、ありがとう。後に褒美を寄越すからね」
『勿体なきお言葉、ありがとうございます』
丁寧な物腰で出ていったのを見届けて、間抜けな顔のまま呆けているナムジュナとホソクに手を叩く。全く、仕方がない。
「ちょ、ヒョン、一体、」
「うーん.....彼女の一族は暗殺が本業なんだけど、あの子はどうやら逸材のようでね。うん......惜しいなぁ」
丁寧に綴られた報告書という名の事実上の決定的破談材料を、するりと撫ぜた。
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▲たると▽(プロフ) - 茜さん» 長い間ご返信遅くなってすみません！ありがとうございます！励みになります！ (4月20日 1時) (
レス) id: 4ea375d9d8 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 設定からもう最高に面白いです！描写が丁寧で情景が浮かびやすくてすごいです！続き楽しみにしています💕 (11月23日 0時) (レス) id: 1a56d20f1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：▲たると▽
| 作成日時：2023年10月31日 0時
